水野達稀 二遊間コンビの絆で劇的V打「大悟さんのミス…絶対に取り返したろって」
■2024 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第3戦 ロッテ2ー5日本ハム(10月14日、エスコンフィールド北海道)
同点の七回に殊勲打 右中間を破る2点三塁打
ドラマチックな一打に、大観衆が酔いしれた。日本ハムの水野達稀内野手(24)が14日、CS(クライマックスシリーズ)ファーストステージ第3戦に「9番・遊撃」で出場。同点の七回2死一、二塁の好機で右中間へ2点三塁打を放ち、決勝点を叩き出した。
持ち前の勝負強さで会心の一打 「いい仕事ができた」
負けたら終わりの土壇場で、勝負強さが発揮された。チームはサヨナラ勝利を飾った前日の勢いそのままに、鮮やかな逆転勝ちで福岡行きの切符をつかみ取った。
殊勲打の水野は「絶対ここで点を取ると思っていた。いろいろミスが重なりましたけど、そのミスをカバーするのが短期決戦。本当にいい仕事ができた」と会心の一振りを興奮気味に振り返った。
直前の無死一、二塁で上川畑が送りバント失敗
V打の裏には二遊間コンビの強い絆があった。決勝打の直前には、無死一、二塁の場面で上川畑が送りバントを失敗。痛恨の併殺でチャンスがしぼんだ。
「二遊間を組んでいる大悟さんのミスだったので『絶対に取り返したろ』って。そういう気持ちで打席に入りました」と極限まで集中力を高め、最高の結果を残した。
感謝しきりの盟友 誓った福岡での恩返し
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勇姿をベンチで見届けた上川畑は「水野、ありがとうございます。それしかないです。『やってしまった…』という感じでしたけど、カバーしてもらいました。次は決めます。福岡では僕がカバーできるように」と、ドラフト同期の頼れる男に感謝しきりだ。
シンデレラストーリーは、まだまだ続く。水野は昨秋、エスコンフィールドで開催された1軍キャンプメンバーに選ばれず、遠く沖縄・国頭で鍛錬を積んでいた。注目度は段違いだが「人より多くバットが振れる」と環境を言い訳にせず、モチベーション高くスイングを繰り返した。
新庄監督を振り向かせた! オープン戦期間中にレギュラー奪取
人知れない努力は、結果に表れる。2軍スタートだった春季キャンプでは、実戦のたびに快音を連発。新庄監督のハートを射止め、オープン戦期間中にレギュラー確定を通達された。
あの日の自分へ 「頑張ったら、いいことあるぞ」
右足首の負傷で一時の離脱はあったが、定位置を譲ることなく2024年を駆け抜けている。
「頑張ったら、いいことあるぞって、2月の自分に言ってあげたいです(笑)。クビのプレッシャーもある中で、今年のキャンプを迎えたので。人間、覚悟が大事だなと思います」。数々の試練をクリアした今、表情には自信が満ちあふれる。
まだまだ夢の途中 「ボスを日本一に」
舞台を福岡に移して、16日からはソフトバンクとの決戦がスタートする。
「ボスを日本一にしないといけないので、負けるつもりはないです。きょうみたいにミスを誰かがカバーして、最後に1点多く勝っていればいい。試合の勝ち負けだけにこだわりたい」。その真っすぐな思いで、勝利の女神を振り向かせる。