高校野球
2024/10/18 20:25

木製バット軍団の札幌南が11年ぶり8強入り ファウル性の打球が置いたバットで決勝打【秋季全道大会】

延長十回タイブレーク2死二、三塁、勝ち越しの適時打を放つ札幌南・斉藤(右)=撮影・石川崇子

■秋季全道高校野球大会第3日(10月18日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽2回戦 札幌南5-3函大柏稜 ※延長十回タイブレーク

 札幌南がタイブレークの末に、劇的幕切れで函大柏稜に競り勝ち、秋は11年ぶりの白星で8強入りした。スタメン9人中6人が木製バットを使用する独特のスタイル。延長十回2死二、三塁で5番・斉藤遼平三塁手(2年)の捕手前に落ちた打球が一塁線のファウルゾーンへ転々としたが、インフィールド内に転がっていた斉藤の木製バットに当たって止まる〝ラッ木ーヒット〟で、これが決勝点となった。20日の準々決勝では駒大苫小牧と旭川志峯の勝者と対戦する。

田畑監督にとって道大会初勝利

 道内トップクラスの進学高の快進撃だ。全日制と定時制合わせて1000人以上の大声援に背中を押され、しびれるゲームを制した。2000年夏の甲子園に出場時の主将で、2018年4月に就任した田畑広樹監督(42)にとって、3季通じて道大会での初勝利。「もう全員で勝ち取った勝利だったので、うれしいですね。(引退した)3年生がきょうは上で応援してくれて、下級生がこれまで試合経験を積ませてもらっていたので、応援の力」。目にはうっすらと涙が浮かんだ。

札幌南は昨夏の支部予選以来の全校応援を実施。全日・定時制合わせて1000人以上の大応援団がかけつけた=撮影・西川薫

 

 まさかの勝ち越し劇だった。斉藤は打ち上げた瞬間、「高くあげちゃった」と思ったが「フェアゾーンに行くこともあるので、とにかく走ろう」と、一塁へ全力疾走。一塁到達後に、勝ち越し打になったことに気付いた。「ラッキー、自分はツイてるんだ、って。初回に先制につながるエラーをしてしまい、そこから一打席一打席、なんとか取り戻したい強い思でいった結果」。ベンチに戻ってからも仲間から「『奇跡だ。おまえラッキーボーイだ』って言われましたが、そこで浮かれず最後まで守備を続けられてよかった」。練習後、グラウンド外に飛び出したボールを拾うなどして、徳を積み重ね、最後に強運を引き寄せた。

延長十回タイブレーク2死二、三塁、勝ち越しとなる適時打を放つ札幌南・斉藤(右)

 

昨秋から3季連続支部敗退も

 昨夏は南北海道大会に出場したが、昨秋から3季連続で支部予選敗退。指揮官は、新チームの予想以上の成長に「全く思っていなかった。本当に夏休みはボロ負けの試合ばっかりで。自分たちで崩れて20点、30点取られるっていうチームだった。こんなタイブレークまでやれるように成長してくれてて、感謝してます」。

 野球部員の多くが他の生徒と同じように国立大進学を狙う。22年には東大に進んだ井沢駿介投手(24)がドラフト候補に名を連ねたが、斉藤は内科医を目指している。「学力は平均ぐらいで、平均だと北大ぐらいと言われている。僕は道外に出たいので、まだまだ足りない。野球だけちょっと勝っても、やはり勉強ができないと。学生の本業は勉強だと思ってるので、そこはまだ自分に足りてない」。まさに文武両道だ。

木製バットを使うようになった背景は

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