《岩本勉のガン流F論》清宮の言葉に感じた成長 チームを背負う覚悟とは
■2024 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルS第3戦 日本ハム2ー3ソフトバンク(10月18日、みずほペイペイドーム)
隙がなかったリーグ王者
その差は歴然だった。1戦目からソフトバンクは役者がそれぞれの役割を全うした。投げるべきピッチャーが投げ、打つべき者が結果を出した。ファーストステージを戦った日本ハムを待つ形だったが、主砲の山川らがフェニックスリーグを利用するなど、隙がなかった。
ペナントレース同様の強さを発揮
そして迎えたファイナルステージ。満員のファンの前に戻ってきた瞬間に思ったことだろう。「そうそう、こういうことだよね!」。ワクワク感が胸を占め、受け身になることなく、パフォーマンスを発揮した。
オーダーに見た違い 顕著だった1、2番の組み合わせ
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ファイターズは決してダメだったわけじゃない。ただ、ソフトバンクとの違いの一つに打線の固定化があった。1、2番が最たるもので、日本ハムは3試合ともオーダーが変化した。ソフトバンクは1戦目こそ、伊藤に相性の良い川瀬を2番に持っていったが、2、3戦目はダウンズ→柳田を固定した。
相手バッテリーにプレッシャーを与えられなかった
特に疑問が残ったのが3戦目だ。日本ハムは1番にマルティネス、2番にレイエスを置いた。これでは相手バッテリーに与えるプレッシャーは少ない。一発だけ警戒すればいい。出塁しても(機動力に優れていないため)渋滞してしまう。2戦目のように万波→清宮ならば、出塁時にエンドランなど、いろいろ策を講じることができ、バッテリーに多くを考えさせることができた。それぞれの役割を明確化できなかったことはマイナスだ。
決勝点につながる失策を記録した清宮
この日3戦目。清宮が決勝点につながる失策を記録した。自分のせいで負けた。そういった意味合いのコメントを伝え聞いた。そこに成長を感じた。自分の成績だけじゃない。チームを背負う覚悟を持っているからこその言葉だろう。悔しいだろう。この日の気持ちを忘れないでもらいたい。
忘れられない片岡さんとの会話
私には記憶に残っている言葉がある。片岡(篤史)さんと常々、話していた。主力と呼ばれるプレーヤーは、ほかの選手、裏方さん、スタッフ、そして彼らの家族をも背負っているのだ、と。開幕投手を務めた1998年(4月4日の西武戦)。1球目を投じた瞬間、片岡さんとの会話を思い出した。責任を強く意識することで、なんとか(4安打)完封を飾ることができた。
まだまだ続くプロ生活 さらなる飛躍に期待
清宮の幸ちゃんよ。まだまだ続くプロ野球生活。いい成績を残した時に出てくる言葉も変わってくるだろう。「お疲れさま」から「ありがとうございました」へ。責任を感じながら、プレーするというのは、そういうことだ。チームとともに、さらなる飛躍に期待したい。