《鶴岡慎也のツルのひと声》シーズン回顧2024 ~野手編~ 主役が頻繁に入れ替わった打線
強かったベストオーダーのソフトバンク
ソフトバンクの強さが際だったCS(クライマックスシリーズ)のファイナルステージ。勢いや雰囲気では決して埋められない差があった。ペナントレース後半に7連勝し、対戦成績を12勝12敗1分の五分とした。ただ、近藤や柳田が復帰し、ベストオーダーを揃えた王者にはかなわなかった。
成長期の選手が多いファイターズ
清宮や万波は、ここぞの場面で確実に仕留める近藤や山川から何を感じただろうか。二遊間の上川畑と水野もそう。今宮や川瀬、ダウンズのプレーには参考すべきポイントが多かった。連続最下位から2位にジャンプアップしたファイターズだが、今のメンバーは成長期のプレーヤーばかり。ホークスとの差を存分に意識し、このオフから取り組んでもらいたい。
チームに必要不可欠な長距離砲
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リーグ2位という成績は立派だ。新庄体制の1、2年目は最下位。ソフトバンクに13.5ゲーム差をつけられたが、3年目でAクラス入りした。打線としては選手層に厚みが増し、ロングを打てる選手が多くなった。レイエスに清宮、万波、水谷、マルティネス。今も昔もロングヒッターがいなくては勝負にならない。4連覇を狙ったオリックスは森、頓宮といった長距離砲が離脱し、5位に沈んだ。
見事だった新庄采配
日本ハム打線は代わる代わる主役が入れ替わり、チームを引っ張った。序盤は田宮。交流戦では、MVPに輝いた水谷が存在感を示した。8月以降はレイエスと清宮が得点源となった。レイエスに関しては新庄監督の采配も見事で、ファームに落とすタイミングと1軍に再昇格させる時期が絶妙だった。
シーズンを通して活躍した郡司
シーズンを通してとなれば、郡司を挙げたい。勝負強い打撃を生かすために三塁や一塁、左翼など、本職(捕手)以外での出場が主だった。二塁を守ることもあった。自身初の規定打席到達には拍手を送りたい。
すべてが対照的な伏見と田宮
捕手にも注目したい。伏見と田宮のバランスが良かった。年齢、タイプ、性格の異なる2人。打席も左右で違う。リード面も、経験に裏付けられた堅実な配球を信条とする伏見と、イケイケどんどんの田宮。すべてが対照的だった。だからこそ、ライバルであり、先輩後輩という良好な関係を築けていた。
リーグ2位に大きく貢献した若き扇の要
冒頭でも触れたように田宮の春先の活躍がなければ、2位という結果にはなっていなかっただろう。夏場から急激に打率を落としていったが、結果的に.277。十分すぎる数字だ。もともと、取る、投げる、止める―といった捕手の基礎は昨年までの2軍生活で身に付いていた。だから、配球やバッティングに頭を使うことができた。
スーパー捕手になれる逸材
良い時期も悪い時期も経験し、チャンスをつかむ喜びもポジションを失う怖さも味わった。ベンチで伏見の姿から学ぶことも多かった。まだまだ伸びる。常に危機感を持ちながらプレーしていければ、スーパー捕手になれる。
まだまだ老け込む年じゃないベテラン捕手
伏見は、さすがの一言だ。投手陣からの信頼は厚く、ベテランといえども、まだまだ老け込む年じゃない。敗れはしたが、SCファイナル第3戦で見せた集中力は素晴らしかった。あのホークス打線。誰が見ても打たなきゃ勝てない。0ー2の三回、先頭で左翼越えソロを放ち、反撃の口火を切った。腹の据わり方が違う。試合展開の読み、何をすれば勝利への確率が高まるのか。その上で、自分の役割とは。適材適所の働きができる。
チームは確実に進化している。今季を無駄にしないためにも、来季のさらなる飛躍に期待したい。