ここまで来たら相手は関係ない。目の前の試合で必ず勝ちきる姿勢を貫いてほしい《河合CRC竜の眼》
重圧の中で硬さが見られた名古屋戦
北海道コンサドーレ札幌は19日のアウェー名古屋戦を2-0で勝利した。負けられないというプレッシャーもあった影響なのか、前半からチームが硬くなっているという印象を受けた。名古屋対策として、普段のマンツーマンではなくゾーンで守るという意図があったのかもしれないが、守備で少しずつズレが生じ、何度か裏へ抜け出されて決定的な場面をつくり出されていたので、今後も同様の戦い方をする場合には守備面でのリスク管理のところをもう少し考えないといけない。
雰囲気を一変させた先制点
チームとしてやや良くない入り方だったが、そんなムードを一変させたのが前半35分のMF駒井の先制ゴール。このシーンでは何と言ってもMF近藤の個人技が光っていた。右サイドのペナルティーエリア手前で相手より一歩前に出て、そこからクロスを上げることもできたが、さらに切り込んでペナルティーエリア内へと持ち運ぶとは対応した相手DFも考えてはいなかったのではないだろうか。
また、ニアサイドでFW鈴木が相手を引きつけ、しっかりと潰れ役を担ったことでファーの駒井が完全にフリーになることができた。後ほど鈴木自身の得点シーンにも言及するが、先制点の場面でも良い仕事をしていたことを高く評価したい。冒頭でも触れた通り、試合の入りが良くなく、なかなか流れの中で崩して得点を決めるイメージがしづらい展開だっただけに、この先制点はチームにとって大きかった。
残り4試合で改善しなければならないポイント
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後半も名古屋ペースで、守備では数的優位にならずに1対1の局面をつくられすぎていたのは反省すべき点だろう。相手にしっかり付いていくのか、マークを受け渡すのかという判断がちょっとずつ遅れていた印象を受けた。マークマンだけを見ていたり、逆にボールしか見ていなかったりと、隙をつくってしまうと失点につながりかねない。3万人以上の観客が詰めかけた完全アウェー状態だっただけに1点を取られていたら流れが大きく名古屋側に傾き、G大阪戦の二の舞になっていた可能性もあった。今回は幸い2度もポストに救われたが、残り4試合を戦う上では必ず改善していかないといけない。
質の高さを誇示したスパチョーク
苦しい展開の中で札幌は後半43分に鈴木のゴールで次の1点を手にすることができた。得点の起点となったMFスパチョークが前線からの守備でボールを奪い、DFパクミンギュにボールをつなげたことが大きかったし、ミンギュも走り込むタイミングがすごく良かった。この日は守備で好パフォーマンスを披露していたが、攻撃面でもこのアシストや直後のシュートシーンなど、相手陣内深くまで持ち運ぶクオリティーの高さや、パスの選択肢を多く持っていることを誇示してくれた。
1点目に続きチームを救った武蔵
そして鈴木のシュートも決して簡単なものではなかったが、枠を捉えて決め切ってくれたのは素晴らしかった。名古屋に1人退場者が出た後ではあったものの1点差だと何が起こるか分からないだけに、このゴールは本当にチームを救う1点だったと思っている。
絶対に負けられない一戦で勝利したことは非常に喜ばしいこと。他会場で残留争いをしているクラブも軒並み勝ち点を伸ばしたが、もうここまで来たら相手のことは関係ない。自分たちは今シーズンの残り4試合で白星を積み上げていくことしかできないので、目の前の一試合一試合で必ず勝ち切る姿勢を貫いていってほしい。
C大阪にも絶対に勝たなければ
札幌の次戦は約1カ月ぶりのホームゲームとなるC大阪戦(11月3日、プレド)。C大阪も前節は磐田に敗れているように、決して調子は良くはない。名古屋戦のように我慢する時間が多くなる展開にはなるとは思うが、絶対に勝たなければいけない一戦となる。
OB戦を盛り上げて試合につなぐ
以前からお知らせさせていただいているが、この日は「赤黒ドリームマッチ~CONSAOLDSの不屈~」と銘打って、札幌のOB選手とアカデミーの札幌U-15による前座試合が開催される。逆転残留に向けて絶対必要な勝ち点3をつかみ取るためにも、札幌の歴史を担ってきたOBと札幌の未来を担う選手たちで熱い戦いを披露し、スタジアムの雰囲気を熱く盛り上げて現役の選手たちに良い形でバトンをつなぎたいと思っている。前座試合は10時30分キックオフなので、ぜひ早い時間からプレドにお越しいただき、札幌の過去、未来、そして現在を体感してほしい。