東海大札幌高が昨秋決勝のリベンジ 校名変更後初となる10年ぶり6度目V【秋季全道大会】
■秋季全道高校野球最終日(10月24日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽決勝 北海0-2東海大札幌高
来春の選抜甲子園出場ほぼ確実に
昨秋準優勝の東海大札幌高が、秋の全道史上初の決勝同カードとなった北海とのリベンジマッチを制し、10年ぶり6度目の優勝と来春の選抜甲子園出場を確実にした。四回、主砲・太田勝馬(しょうま)一塁手(2年)の2ランで先制すると、先発の矢吹太寛投手(2年)とエース右腕・高橋英汰投手(2年)によるダブルエースの完封リレー。東海大四から東海大札幌に校名変更した2016年以降では初の優勝で、この秋に就任した遠藤愛義監督(40)は無敗のまま頂点に立った。東海大札幌高は11月20日開幕の明治神宮野球大会に出場する。
また、準優勝の北海と札幌日大高は、来月3日から福島県で行われる「北海道・東北地区交流試合」で聖光学院、花巻東と対戦することが決まった。
先発の矢吹が九回に再びマウンドへ
九回、左翼から再びマウンドに上がった矢吹が、最後の打球を捕球して自らの足で一塁を踏んだ。グラウンドやベンチからマウンド付近に一斉にけ寄る歓喜の輪の中には少し遅れて加わった。
自らの力で昨秋の悪夢を払拭
昨秋の決勝では、タイブレークの延長十回無死一、二塁で犠打を一塁へ悪送球してから悪夢の4失点。「去年、この決勝で自分で負けたので、やっぱ自分でこの試合に勝って、絶対北海道ナンバーワンになるんだっていう気持ちで投げました」と、最後はウイニングショットのスライダーで締めくくった。
北海には決勝3度目の正直で雪辱果たす 太田勝馬は公式戦初弾
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何度も立ちはだかってきた壁を打ち砕いた。3季通じて最後に優勝した2014年秋の全道決勝では北海に勝ったが、その後の道大会では5連敗。中でも17年の南北海道大会と23年秋季全道は決勝で連敗を喫した。今回は3度目の正直でリベンジし、優勝を引き寄せた。
決勝弾を放った太田勝馬は、昨秋の大会ではベンチ外。双子の兄・勝心(まさむね)中堅手(2年)が活躍する姿をスタンドから見つめていた。自身の公式戦初アーチが優勝を決める一発となり、「めちゃくちゃ嬉しいです」と声を弾ませた。
北海高出身の父を超えるのが目標
2人の父は北海高が1994年に夏の甲子園8強&国体優勝した時のメンバー。試合前、父からは「とにかく楽しめ」と背中を押された。「絶対、北海を倒して甲子園に行くっていうのは、勝心と2人の夢でした。やっぱ親父の結果は超したいですね」。来春の大舞台での活躍を誓った。
大脇前監督も急きょベンチ入り
遠藤監督の目には涙が溢れていた。この夏の敗退後、大脇英徳前監督(49)からバトンを受け取った指揮官。昨春、東海大相模コーチから同校のコーチとして赴任。新天地2年目で早くも結果を残した。
準決勝と決勝は、同校の修学旅行に帯同した戸田敬太部長(41)に代わって大脇前監督が急きょ部長としてベンチ入り。「まだ実感が湧かないというか。戸田部長もいるんですけども、今回、来られないということで。僕自身は大脇先生と2人でベンチに入れて優勝できたことはすごく嬉しく思ってます。僕が勝手に大脇先生の意思を継いでます。いつも横にいてくださって、相談すればちゃんと返事をもらえる。余計なことは言わない。去年1年間(コーチを)やらせていただいて、いろんな学びがあった。とにかくこれをつなぎたいっていう勝手な思い」と、試合後はベンチ裏で2人でがっちりと抱き合って喜び合った。
指導者として5度の甲子園出場
新風を吹き込む。指揮官は東海大相模高出身で、東海大では春秋4度の全国大会に出場。卒業後も母校の東海大相模、東海大菅生の指導者として5度の甲子園出場。16年からの東海大相模では、名将・門馬敬治監督(54、現創志学園監督)の下で学んだ。
攻撃型の野球が理想
出場させる選手はメンバーの調子をしっかりと見極めて決める。オーダーは固定しない。今大会では足を絡めた積極的な走塁も光った。犠打は全道大会5試合で4つ。守備は大前提と前置きした上で、「基本的には攻撃型でいきたい。その辺はまだ指導力不足だった。彼らの力を発揮しきれてなかった。やっぱりロースコアになるとピッチャーもきつくなってくるので、得点を効果的に取れるように今後はやっていかなきゃ」。まだまだチームの底上げに力を尽くす。
神宮で可能性ある恩師との対戦熱望
甲子園出場が決まれば、遠藤監督自身は東海大相模、東海大菅生に続き3校目。明治神宮大会には10年前の東海大菅生でコーチをしていたとき以来の出場となる。1回戦に対戦することが決まっている東海地区代表に勝利すれば、恩師の門馬監督が指揮を執る創志学園が所属する中国地区代表とも対戦する可能性がある。「今日の夜、すぐに電話してみようと思っています。『やりましたよ、ちゃんと来てくださいね』って」。
明治神宮大会は約1カ月後。「なかなか他の県とやる機会ってのが北海道は少ない方。だから、子供たちが(神宮で)何かを感じられるように。あと北海道の野球を見せつけたい」。校名変更後初の全国大会で、東海大札幌高の名前をとどろかせる。