水谷瞬 打率3割との戦いに苦悩した24年シーズン ヒントを得られた経験者の言葉
新天地でブレークも目標には届かず
日本ハムの水谷瞬外野手(23)が25日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で行われた秋季練習に参加した。昨年末、現役ドラフトで加入。今季、交流戦MVPに輝くなど、97試合に出場し、打率.287の9本塁打とブレークした。
目標としていた打率3割には届かなかったが、2022年に首位打者を獲得した松本剛外野手(31)に助言を求め、新たな発見も得られた。次なるステップのテーマは「攻め」だ。
交流戦で一気に覚醒
酸いも甘いも経験できた24年となった。昨季まで1軍未出場だったが、交流戦の歴代記録を更新する打率.438をマーク。交流戦首位打者を獲得すると、その勢いのまま最後まで1軍で戦い抜いた。
自分に厳しい男 「よくやったと褒めてあげて」
「それなりに勝負できる数字は残せたと思います。全然、満足はしていないんですけど、よく1年間けがもせず、スランプはあったと思うんですけど、その中で波をしっかり盛り返してここまで来た。あんまり普段は(自分を)そんなに褒めることはないんですけど、そこはよくやったと褒めてあげて、また来年に向かえたら」
激闘のCSでは音なし 6打数無安打の5三振
その一方で、場数を重ねたからこそ感じられる悔しさもあった。チームはクライマックス・シリーズ(CS)でファイナルステージまで進出したものの、6打数0安打5三振と流れに乗ることができなかった。
ファーストスS突破も「悔しいところでもあった」
「CSで使っていただけなかったのは、僕自身、悔しいところでもありました。信頼がまだまだ足りないのかなっていうのは感じた。チームとしてはファーストステージもいい勝ち方で、本当に盛り上がりもあって良かったとは思うんですけども、個人的にはそこに対して、本当に100%喜べたかって言ったら、そうではなかった」と唇をかんだ。
誓った打倒ホークス&新庄監督の胴上げ
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借りは返す。新庄監督が続投を表明したことで、打倒ソフトバンクへの意識はさらに強いものとなった。
「僕自身、ホークスに負けて悔しい気持ちもありますけど、ボスもたぶん小久保さんと同級生で、同じ世代で現役時代にしのぎ削っていた間柄で、その同い年に負けるっていうのは悔しいと思う。なんとか来年はそのホークスを打ち負かして、チームの勝ちとボスの胴上げ、そのワンピースに加われたら」とリベンジを誓った。
シーズン終盤に失速 9,10月の打率は.225
シーズン中はひそかに数字と戦っていた。前半戦終了時点での打率は.309。打率3割でのゴールを目指していたが、シーズン終盤の9、10月の打率は.225と失速。.287でシーズンを終えた。動く数字との戦いは予想以上にきついものだった。
「タイトルは1厘でどうかっていうところ。そういう争いをしながらタイトルを獲られる人はどういう精神力でやってるのかな?と。特に首位打者はどういう精神力でやっているのかな?っていうのは、本当にあらためてリスペクトできるところだなと思った」
22年の首位打者にもらったアドバイス
そんな難しい戦いを制した男がチーム内に存在した。22年の首位打者・松本剛だ。打率3割前後を推移しているタイミングで、どんな心持ちで打席に向かっていたのかを尋ねたという。
「3割を守りにいったら落ちちゃうから、3割3分とか打つ気持ちでいった方がいい。とにかく攻めの気持ちでいった方が数字としては残るし、結果も内容も良くなってくるから」と答えはシンブルなものだった。だが、気付けば持ち前のアグレッシブさが鳴りを潜めていた。
来季こそ「攻め」を忘れず
攻めの気持ちを意識すると、打席内容も良化した。3割に乗せることはできなかったが、この気付きは来季に向けた大きな指針となる。水谷は「もっと先を見据えた時、もちろん自分もそういうところを目指したい。あらためてまだまだ先が長いなと感じられた1年」と気持ちを新たにした。
高いポテンシャルを秘める背番号53が、来季は攻めダルマと化す。