レジェンド葛西紀明がUHB杯ジャンプで3位 12月開幕のコンチ杯からW杯昇格狙う
■UHB杯ジャンプ(10月26日、札幌大倉山ジャンプ競技場)
ノルディックスキージャンプのUHB杯が札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われ、レジェンド・葛西紀明(52、土屋ホーム)が1本目6位から2本目に巻き返し、W杯遠征組で優勝した中村直幹(28、Flyng Laboratory SC)、2位・二階堂蓮(23、日本ビール)に続く3位で表彰台に上がった。10月に長野・白馬で行われた全日本選手権では、ノーマルヒル7位、ラージヒル4位に終わり、W杯開幕遠征メンバー入りは逃したが、コンチネンタル杯からの返り咲きを狙う。
W杯遠征組の2人より上位に
秋色に染まった大倉山で、葛西が存在感を示した。小林陵侑(27、チームROY)は出場しなかったが、K点越えのジャンプを2本そろえ、大会に出場したW杯遠征組4人中、小林潤志郎(33、Wynn)と佐藤慧一(27、雪印メグミルク)の2人を下して、表彰台に上がった。「この夏はだいぶいい感じで固まってきていて、成績も上位に食い込めるようになっている。なんだか楽しくなってきましたね。全日本では(小林)陵侑と数メートル差で自信にもなりました。きょう、あすで中村、二階堂には勝ちたいと思っていた。きょうは残念ですけど、明日ちょっと負かしてやろうと思ってます」。強気な言葉も飛び出した。
昨季は国内大会で優勝するなど、結果を残してW杯札幌大会のメンバー入り。そこで30位に入ると、5シーズンぶりにW杯ポイントを獲得。海外遠征組に復帰。さらにW杯プラニツァ大会で29位に入り、51歳290日というW杯最年長ポイントの記録を打ち立てた。10月の全日本選手権ではノーマルヒル7位、ラージヒル4位。引き続き、好調を維持している。
好調を維持している要因は毎日日課の…
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要因は毎日日課として行っている朝晩のランニングだ。10月1日からこの日で100キロちょうど。「今年1月になってからずっと走り込んでいて、それが精神的にもすごくいい感じになってます。自分がどうしたらいいのか、どうやったら調子よくなるのか、というのをずっと考えながら走っていて、そのイメージが少しずつ体の動きと一致してくるようになってきた。最強のイメージトレーニング。もうちょっと調子は良くなれば負ける気がしない」。50歳を過ぎても、まだまだ進化を止めない。
母校野球部の優勝が刺激に
10月24日には、母校・東海大札幌高の野球部が秋季全道大会で10年ぶりに優勝。「見てました、久しぶりに。あれもやっぱり自分の力の源にはなりましたね。お、頑張ってんな、母校って。応援してます」。卒業して30年以上がたっていても、後輩たちの活躍に刺激を受けている。
9度目五輪出場へ正念場のプレシーズン
今季は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズン。海外初戦は12月7日に中国で行われるコンチ杯。当然、結果を残して早期のW杯昇格を狙う。11月中旬からスロベニアで合宿を行い、万全の状態で本格的なシーズンインへ準備を進める。「うわさではちょこちょこメンバーを変える、という話。どこか楽しいところで、一番盛り上がるところで出してもらえたら。世界を盛り上げていきたい。そして最終的にはW杯メンバー固定が一番。その中でW杯の成績をどんどん上の方を目指していければ、来年、再来年につながっていくのかな」。自ら伝説を塗り替え続け、前人未到9度目の五輪出場への挑戦が本格化する。
■男子1本目2位から逆転勝ちした中村直幹(28、Flyng Laboratory SC)
「風が強くて当たり外れがあって、僕はラッキーで1本目が当たった。ちょこっと失敗しちゃったんですけど、風に助けられた部分もあったので、まあまあ運も良かったし、ジャンプも良かった。(小林)陵侑は、もちろんずっと上を目指しているけど、蓮君とか僕とか、慧一くんとかが、そこを超えていくような存在にならないと日本チームが面白くならないし、往年の長野オリンピックあたりの盛り上がり、というのもまたないのかな。あしたも楽しみ」
■女子優勝の伊藤有希(30、土屋ホーム)は10月の全日本選手権から3連勝
「正直この夏は今までで一番苦しくて、 自分がやりたいことや、したいジャンプは分かるんですけど、そこになかなか近づけずに、こんなに何も変われなかった夏はないなっていうぐらい。自分はまだ個人の金メダルを持っていないので、個人の金メダルを狙っていきたい。 またフライングヒルを飛んで、女子の世界記録を作りたい、というのが自分の一番の目標」。