新庄ビッグボストライアウト視察「全員ほしい」
新戦力、みーつけた?! 日本ハムのビッグボス・新庄剛志監督(49)が8日、メットライフドームで行われた12球団合同トライアウトを稲葉篤紀GM(49)とともに視察し、「全員ほしい」と選手獲得に前向きな姿勢を見せた。結果ではなく内容を重視するのがビッグボス流。練習での動きや足の運びなど細部までチェックし、目に留まった選手には元阪神の高野圭佑投手(29)らの名前を挙げた。
白いダウンに身を包み、腰には充電式の加熱ベルトを装着。冬のメットライフドームに防寒対策万全で現れたビッグボスは、人生を懸けた勝負に挑む“受験生”に熱い視線を送った。
昨年は選手枠で参加したトライアウトに、今年は監督として戻って来た。行程の約半分を消化した時点で取材に応じ、「全員、ほしいっすね。(昨年は)僕がプロ野球選手になりたくて受けた。選手たちの気持ちがすごい分かるので、少しでも良いところを見ていました。一人でも多く獲りたい」と新戦力獲得に意欲を見せた。
収穫は十分だ。オリックス・金田、楽天・中村、巨人・山下と、眼鏡にかなった選手の名前を列挙した。特に昨年のトライアウトを一緒に受験し、今季台湾リーグでプレーした高野を「芯を外すカットボールが面白い。去年より球のキレは全然良かった。しっかりマウンドにも僕たちにもあいさつをして、ああいう人間性っていうのは大事」と高評価した。
目の付け所がビッグボス流だ。トライアウトは投手と打者の対戦形式で行われるが「結果はどうでもいい」ときっぱり。「(見るのは)足の回転。足の速い選手と肩の強い選手は衰えがない。あとは野手のスタートのステップも見ている。例えばフライを上げてのセカンドまでの足のスピードとか」と、細かいチェックポイントを解説した。
この日は稲葉GMもともに視察。選手との契約を決めるのはビッグボスの一声ではなく、あくまでも球団の総意だ。「僕は案を言って、あとは見る目は稲葉GMの方がある。球団の方針もたくさんあるので。決めるのは何十人ものミーティング。まだ1年目でペーペーなので、そういう力はないから」と説明した。それでも「この選手が良かったっていうことは報告します」と力を込めた。
名前を挙げた選手以外にも、“隠し球”がいる可能性もある。「全然違う子を取ったりしてね。ありますからね、僕は」。ビッグボスに見いだされ、眠っていた才能を開花させる選手は出てくるか―。サプライズはどこで起きるか分からない。
昨年は選手で「不思議だな人生って」
昨年は選手としてトライアウトを受けたビッグボス。打席では左前適時打を放ち、守備では一、二、三塁を守ってアピールしたが、15年ぶりの現役復帰はかなわなかった。1年前の挑戦を振り返り、「悔いは…あった。せっかく1年間トライしてきて、毎日地味な努力をして」と素直な気持ちを口にした。
しかし、今は前を向いている。「1年間やれば14年間ブランクがあってもいけますよ、というアピールはできたと思う。去年、俺はここ(グラウンド)に立っていたのに、なんでここ(スタンド)に座ってるんだろ。不思議だなー、人生って思いましたね。でも、ここに座れたのも、ここに立ったから」。全ての経験をこれからの監督人生に生かすつもりだ。