西武から指名あいさつ受けた星槎道都大の148キロ左腕・佐藤爽 チーム事情で投手転向し大学で開花
札幌山の手高出身で初のプロ選手
今月24日のドラフト会議で西武から育成4位指名を受けた北広島市出身で星槎道都大の最速148キロ左腕の佐藤爽投手(4年)が31日、同大で前田俊郎アマチーフスカウト(59)らから指名あいさつを受けた。札幌山の手高時代に投手に転向もそれまで主だった実績はなかったが、大学4年間でプロ野球選手への道を切り開いた。
1軍で戦える投手になるために
運命の日から1週間。「指名された時は、そこまでの実感は湧かなかったけど、あいさつに来てもらって、本当にこれから勝負。頑張れば上で戦える投手になれるって話をしていただきました。(西武は)良い左投手がいる印象。しっかり聞けるとこは聞いたり、盗めそうなところは自分で盗んだりしていきたい」。昨年のドラ1左腕で、今季10勝の武内夏暉投手(23)らに学んでいく構えだ。
担当スカウトも支配下登録へ太鼓判
水澤英樹担当スカウト(55)は「フォームが良いので、けがのリスクも少ないし、多分いくら投げても壊れないタイプ。コントロールがあって、キレ、変化球、フィールディング、投球センス、全て良い。足りないのは、ストレートの力強さとか、もうちょっとスピードがあればくらい。まあ、自然とトレーニングして食事すれば全く問題ない。もう少しスピードが上がって、もう少しキレが出てくれば、もっと変化球が生きてきて、もっと三振も普通にとって、もっと簡単に打ち取れるピッチャー。(支配下登録には)そんなに時間は掛からないんじゃないかな?」と期待を込めた。
中学時代は殆ど試合に出られず「高校の時点で野球をやめようと…」
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札幌山の手高出身としては初のプロ野球選手の誕生だ。だが当時は「高校の時点で野球をやめようと思っていたので、全然プロになるイメージは湧いてなかった」。中学硬式の札幌豊平ボーイズでは「ほとんど試合に出たことがなかった。ピッチャーでもなかった」。札幌山の手高のグラウンドは校舎から約5キロ離れており、決して恵まれた環境ではなかった。校舎から自転車で向かうグラウンドまでの道中はひたすら上り坂。「それがいいトレーニングになってた」。
全道出場は1度 3年時はコロナ禍
投手転向はチーム事情から。「本当にピッチャーがいなくて、たまたま左が自分だけだったので、投げただけです。そしたらなんか抑えちゃった(笑)」。ここから運命の歯車が音を立てて回り始めた。ただ、1年秋から公式戦で登板するも、3季通じて全道規模の大会への出場は2年秋のみ。3年時はコロナ禍で甲子園への道は絶たれた。
そこから一転、元プロ野球選手で星槎道都大の二宮至監督(70)に見いだされ、才能が開花した。1年春からベンチ入り。最速148キロの直球とスライダー、チェンジアップを武器に、大学通算16勝の左腕へと成長を遂げた。
2人の先輩との対決が楽しみ
身近な存在にも刺激を受ける。北広島の少年野球チーム時代の三つ上の先輩には巨人育成の鈴木大和外野手(25、北海学園大出)がおり、さらに昨年のドラフトで広島から3位指名を受け、今年10月6日に1軍初勝利を挙げた星槎道都大の一つ上の先輩・滝田一希投手(22)がいる。
巨人の鈴木とは、今年6月の全日本大学野球選手権(明治神宮球場)出場時に一緒に食事にも行った仲だ。先輩の2人からは今回のドラフト後、「おめでとう」とそれぞれ祝福メッセージが届いたという。
「(滝田とは)いつか投げ合いができれば、うれしいですね。できれば早く1軍に上がりたいけど、自分のできることをしっかりやっていきたい」。新球場開業で沸いた北広島から、また一人、将来の球界を担う金の卵が巣立っていく。