札幌大谷が4年ぶり4度目V 夏を過ぎて生まれ変わった超攻撃的サッカー【全国高校選手権北海道大会】
■全国高校サッカー選手権北海道大会最終日(11月2日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽決勝 旭川実業1-3札幌大谷
清水監督体制では初の本大会へ
夏の全道高校決勝で旭川実業に敗れていた札幌大谷が逆転勝ちでリベンジを果たした。1点ビハインドの前半20分にDF森詩音(3年)が同点弾を決めると、同32分にFW真浦劉(3年)が決勝弾。終盤は来季からFC今治入りが内定しているボランチのMF笹修大主将(3年)がアンカーを務めて追加点を許さず、4年ぶり4度目の頂点に立った。就任3年目の清水隆行監督(49)は、指揮官として初の選手権本大会出場にチームを導いた。
FC今治内定の笹主将は試合後に涙
試合終了のホイッスルがなった瞬間、ピッチに突っ伏した笹主将。3年間で初めてつかんだ冬の全国切符で、ヒーローインタビューでは感極まって涙があふれた。「道内で本当に頂点が獲れない3年間を経験して、最後にここしかないっていう時に決勝でしっかり勝ち切れたことは本当に大きい。去年の選手権も一昨年の選手権も思い出したし、難しいゲームの中で最後、チーム全員で走り切って戦って勝てたことは当たり前じゃない、本当に難しいことを達成できたんだ」と喜びをかみしめた。
森がミスを帳消しにする同点弾
1点目を決めた森は右サイドバック。前半4分には森がいる右サイドから先制点を許した。「僕の判断ミスであそこやられてしまった。どうにかして僕が得点してやろうっていう気持ちがあった」。同20分、右サイドでのワンツーから一気に相手DFラインを突破し、ペナルティーエリア内に侵入すると、GKとの1対1では冷静に右足でゴール左隅を狙いすました。
同点ゴールは「大谷らしい崩しだった。サイドバックがあそこまで入って行くのは練習から関係性を意識していた。1失点してしまっていたので、これでチャラ。チームの勝利に向けての1得点。僕も結果でチームに恩返しできたのはとても大きい」と声を弾ませた。
プリンスでは前期18点、後期35点と得点力倍増
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超攻撃的チームに生まれ変わった。現3年生が1年生の時、ルーキーリーグの全国大会で「ボールは持てるんだけど、シュートが少ない、得点力が少ない、という課題があった」と森。結果が出始めたのは夏を過ぎてからだ。指揮官就任3年目でインターハイに出場。帰道後、よりゴール前の精度やスプリントを意識した。
「外からも中からも、セットプレーからも、いろんな形で点が取れるように練習から意識してて、そこが今、結果につながってるのかな」。プリンスリーグ前期のチーム総得点が18得点に対して、後期は35得点と、一気に倍増した。
メンバー全員がゴールを狙う意識
この試合でも、シュート数は旭川実業の6本に対して札幌大谷は11本。攻め続けて、夏に苦杯をなめた相手にやり返した。「前の人はもちろん決めてくれるけど、後ろの選手やハーフの選手が決めちゃったり、(笹)修大のヘディングだったり、みんながゴールを目指す意識っていうのは強い。誰かに頼るサッカーじゃなくて、みんなでサッカーをやっているんだっていう感じが強い。1得点目、2得点目とか、あんまり覚えていないけど、なんかすごい(パスが)つながっていた」。高校最後の大会で、理想が目に見える結果となって表れてきた。
ホットラインある右サイドが強み
森は北海道コンサドーレ札幌U-15出身。ユースへ昇格できず、札幌大谷の雰囲気に惹かれて進学。同期3人も追従した。なかでも同じ右サイドのMF曽我部修羽(3年)とは小学4年からコンビを組んできた。「目を合わせたら『あ!』って」と、アイコンタクトで分かり合う最強のホットラインだ。2トップの右で、決勝ゴールを決めた真浦は「右サイドはうまい選手が固まってて。パスワークとかうまくて、絶対右サイドだったら崩せる自信があった」と胸を張った。
本大会の目標はベスト8以上
過去3度出場の本大会では2015年の1勝のみ。清水監督は指揮官としての初陣となり、「彼らのサッカーを1日でも長く見ていたいのけど、彼らの目標としては全国ベスト8」と現実的な目標を掲げた。
しかし、笹主将はさらにその上を見ている。「(ベスト)エイトって言ってますけど、それを超えたら優勝しか見てない。4強は国体で経験している。それ以上のものは見たいので、最後はしっかり優勝っていう形に全員で行ける実力はあると思う。ここからまた1カ月半詰めて全国に向かいたい」。1日でも長く仲間とサッカーを続けるためにも、さらに攻撃の刃を磨いていく。