ここまで来たらやるしかない。勝利をつかみ取ってラスト2試合へとつなげたい《河合CRC竜の眼》
もったいないボールの奪われ方
3日のホームC大阪戦(1△1)。北海道コンサドーレ札幌にとっては何としても勝ち点3が必要な状況で、選手たちも最初から戦う気持ちを見せて、良い試合の入り方ができていた。だが後半はチームとしてのパワーが足りず、もったいないボールの奪われ方から失点してしまいドロー決着という、非常に厳しい結果となってしまった。
開始早々の前半9分に、札幌がMF青木の先制点で幸先の良いスタートを切ったが、あのシーンはDF岡村がFW菅に送ったダイレクトの縦パスが全てだったと思う。ピッチ上の状況がよく見えていたし、ああいうところでダイレクトに通すことができると、相手DFの切り替えも1~2秒遅れて、より優位に展開することが可能となる。
青木のゴールへ向かう姿勢を評価
直後のボックス内でのプレーこそやや精度を欠いたものの、青木がマイナスでボールをもらおうとしてからも動きを止めず、しっかりと追い越していった結果、こぼれ球を拾ってゴールにつなげることができた。ああいうゴールへ向かう姿勢は、次の湘南戦にも必ずつながってくると思っている。
青木のゴール後、前半30分頃まではほぼ札幌のハーフコートゲームと言ってもいい展開だったが、結果的にはここで追加点を奪えなかったことが後々大きく響いてしまった。特に同22分のMF近藤のすばらしい切り返しからの左足のフィニッシュは、シュートまでの流れは完璧と言えるものだっただけに、せめて枠に飛ばして、こぼれ球を押し込めるチャンスをつくりたかった。
後半は一気に流れが相手に…
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後半に入ると、C大阪が前線からのプレスを強めたこともあって、試合の流れが一気に相手に傾いてしまった。札幌は選手のパスを受ける角度や、互いの距離感が良くなく、またボールを回す位置も低くなってしまっていた。前線にもボールが収まらず、ロングボールを蹴っても跳ね返されてしまうなど、マイボールにできている時間帯が少なかった印象だ。途中出場のMF浅野がチャンスメークする場面もあったが、攻撃に厚みをもたせられず、前半のように二次攻撃、三次攻撃へとつながるシーンがほとんど見られなかった。
周囲のフォローがなくパスを出すところがなかった
そして後半40分の失点シーン。青木が自陣でボールを奪われたことがきっかけになってしまったが、奪われ方も良くなかったし、周囲のフォローがなく、パスを出すところがなかったというのもいただけなかった。ああいうところでしっかりハードワークし、周りを助けてあげる動きというのをしなければならない。
またペナルティーエリア手前でDFパクミンギュが相手選手を倒した際に、札幌の選手が動きを止めてしまったことも原因のひとつ。ペナルティーマーク付近にみんなが固まってしまっていたし、DF中村も最初にシュートを放った選手に対してもっと寄せないとダメ。ミスがひとつ、ふたつ、みっつと続くと、やはり失点につながってしまうことを思い知らされた場面となった。
残り3戦で勝ち点6差
リーグ戦残り3試合で、17位柏との勝ち点差は6。次節でJ2降格が決まってしまう可能性もあるが、もう目の前の一戦で勝つことでしか残留への道を切り開くことができないので、選手たちは勝利だけを目指して戦ってほしいと思っている。
対戦相手の湘南は現在リーグ戦4連勝中と波に乗っている。ハードワークができているし、ボールを奪ってからの縦に速い攻撃が脅威である。その前への推進力を遅らせることが重要であるが、かと言って守備陣がペナルティーエリアまで下がってしまうと、ミドルシュートもあるという、非常にやっかいな相手だ。ボールを持っている選手を2人目、3人目がどんどん追い越してくるので、マークに付きづらい部分もある。札幌としてはボールの奪いどころをはっきりとさせたいところだ。ここまで来たらやるしかないので、何としてでも勝利をつかみ取って、ラスト2試合へとつなげていきたい。
CONSAOLDS アカデミー選手に貴重な機会
ここでC大阪戦の前座試合として実施したCONSAOLDSの試合についてお話しさせていただきたい。今回で3回目の開催となったが、早い時間からのキックオフであったにもかかわらず、多くの方々に来ていただいたことに深く感謝したい。ファン、サポーターの皆さんからも良い反響の声をいただいているし、アカデミーの選手たちにとってもトップチームと同じような環境でプレーできるということで、アカデミーダイレクターの石川直樹からも「このような機会をつくっていただけるのは本当に幸せだ」という言葉ももらえた。
札幌の未来を担う選手たちにそういう場を提供できたことはうれしいが、試合結果は1-3で札幌U-15に屈する形となってしまった。プロの威厳と技術を実際に戦う中で感じ取ってもらい、その上で勝利するということが、OBとして大事なことだっただけに、敗れたことについては非常に悔しく思っている。アカデミー生の将来性を肌で感じられたことはポジティブな材料ではあったが、勝負となると話は別。引退したとて、負けることへの悔しい感情は薄れるわけではないし、小野伸二も非常に悔しがっていた。今後もアカデミー生にプロと同じ舞台を経験してもらえるように、毎年実施していきたいと思っているし、今後はOB同士による試合など、新しいことも考えていきたいと思っている。