逆転残留遠のく無念のドロー決着 札幌MF駒井善成が同点ゴールも猛攻あと一歩及ばず
■J1第36節 湘南1-1札幌(11月9日、神奈川・レモンガススタジアム平塚)
後半シュート13本も…
怒濤の攻勢も実らず、J1残留が大きく遠のく悔しいドロー決着…。逆転残留を目指して敵地へと乗り込んだ北海道コンサドーレ札幌が湘南と1-1で引き分けた。湘南ペースで展開していた後半5分に先制を許したが、同14分にMF駒井善成(32)の今季6得点目で同点に。試合の流れを一気に引き寄せ、後半だけで13本のシュートを放ったが、あと1点が遠かった。
J1残留圏の17位・柏とは残り2試合で勝ち点6差となり、今月30日に行われる他会場の結果次第では、札幌のJ2降格が決定する極めて厳しい状況へと追い込まれた。
敵地に大勢のサポーターが集結
悔しい結果に終わった試合後、駒井は「勝ち点3を狙っていたので。自分たちとしては満足のいく結果ではなかった」と、硬い表情で90分の戦いを振り返った。
奇跡の逆転残留を信じ、スタジアムのアウェー席には約2400人の札幌サポーターが集結。札幌のチームバスが会場に到着した際には、大声量のチャント(応援歌)で選手たちを出迎えた。「バスを降りるときから、たくさんのサポーターが僕たちを出迎えて、ボルテージを上げてくれたので、それに絶対、応えたいなと思っていた」。
その言葉どおり、リーグ戦4連勝中と絶好調の湘南にペースを握られた前半45分間では、札幌の倍以上となる9本のシュートを浴びせられながら体を張った懸命の守備で耐え抜き、何とか前半をスコアレスで折り返した。
駒井が重たい雰囲気を払拭
後半5分に湘南に先制点を許し、チーム内に一時暗雲が立ち込めたが、その重たい雰囲気を払拭したのが駒井だった。MF近藤友喜(23)が右サイドで仕掛けると、ゴール前へと送ったクロスボールを打点の高いヘディングで湘南ゴールへと流し込んだ。チームに活力を与える、大きな同点ゴールとなった。
駒井は「近藤が1対1で仕掛けるときは、中で勝負しようと決めていて。縦に行ってくれるだろうなと思っていたので、うまく最初はファーに逃げながら、最後に真ん中で仕留め切れた。ボールも良かったし、入り方も良かった」と、前々節のアウェー名古屋戦(2〇0)での先制点に続く、ホットライン開通のシーンを振り返る。
怒濤の猛反撃 無人のゴールへ遠目から狙ったシュートは…
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このゴールを皮切りに、札幌が猛反撃を開始。同40分には約5カ月ぶりのリーグ戦出場となったFW金健熙(キム・ゴンヒ、29)が放ったシュートが相手DFに当たって枠内に飛ぶが、湘南GK上福元直人(34)のファインセーブに阻まれゴールならず。
同アディショナルタイム直前には、上福元がエリア外に出て、がら空きとなったゴールをMF浅野雄也(27)が遠目から狙うが、ゴール前でバウンドしたボールはわずかにゴール右へと外れていった。
手元には勝ち点1のみ
試合終了間際にもペナルティーエリア手前での直接FKのチャンスを得るも、MF青木亮太(28)のシュートはバーの上へと外れ、万事休す。あと1点が遠かった札幌の手元に残った勝ち点は、1ポイントとなってしまった。
駒井は「(自身のゴールで)雰囲気が変わったのは確かだし、交代選手も攻撃的な選手が入ってきた中で、多くの際どいチャンスをつくれたのはすごく良かったけど、最後のところでゴールを割れなかったのは悔しかった」。
最短で次節の前日に降格決定も
これで19位・札幌の勝ち点は34。残りは2試合で、17位・柏が今月30日のホーム神戸戦で引き分け以上、またはJ2降格圏18位・磐田が未消化となっていた同16日のホーム横浜M戦、そして同30日のホームFC東京戦で連勝すれば17位のクラブの勝ち点が41以上となり、12月1日のアウェー広島戦(Eピース)を戦わずして札幌のJ2降格が決定することになる。
プロらしく最後まで戦い抜く
まさに崖っぷちと言える状況にまで追い込まれたが、駒井は「可能性がゼロになるまで、諦めるわけにはいかない。しっかり切り替えて、広島戦に向けてプロらしく良い準備をして、勝ち点3を狙いにいきたい」と前を向く。
試合後には札幌ゴール裏にいるサポーターにあいさつし、気持ちを新たにした駒井。「このサポーターと一緒に残り2試合をしっかりと戦い切りたい。まだチャンスはあると思うので、それに向かって頑張りたい」。残留への望みが12月まで、そして最終戦までつながることを信じ、札幌イレブンは最後まで戦い続ける。