選手会長の松本剛 〝手締め役〟に野村佑希を指名した理由とは- 秋季キャンプ打ち上げ
■秋季キャンプ(11月10日、エスコンフィールド北海道)
若きスラッガーに託した大役
日本ハムの松本剛外野手(31)が10日、最終日だった秋季キャンプの〝手締め役〟に野村佑希内野手(24)を指名した。
チームを引っ張る選手会長が、オフの自主トレを共にする若きスラッガーに大役を任せたわけとは―。
不本意な成績に終わった背番号5の今シーズン
グラウンドでファンも参加して行われた手締めの音頭を取ったのは、高卒6年目の野村だった。今季、出場56試合で打率.210と低迷。松本剛が重要な役割を託した理由には、後輩への愛情がたっぷり詰まっていた。
「最初は冗談半分でジェイ(野村)いくか、みたいに言っていたんですけど、僕の中では本当にやらせようかなって。きのう、『ジェイやってみる?』って聞いたら意外に、やりますみたいな感じだったので、『じゃあ頼むわ』って球団の方にお願いして、いいねって言っていたので」。球団幹部の了承を得て、正式に決まったという。
1万2500人のファンも見守る中で
この日、エスコンフィールド北海道には1万2500人のファンが来場。練習中は緊張気味だった野村だが「松本選手会長より指名していただきましたので…」と切り出し、無事に任務を遂行。横で見守った松本剛も「良かったんじゃないですか」と目を細めていた。
自主トレを共にする後輩への熱き思い
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毎年1月には沖縄・伊江島で合同自主トレをする間柄。今シーズン、結果が出ずにもがき苦しむ野村の姿を、若き頃の自分と重ね合わせていた。松本剛も、ドラフト同期の近藤、上沢らが活躍する中、なかなか1軍に定着できずにいた。
「僕が偉そうなこと言えないですけど、本人が一番、今年、悔しかったと近くで見て感じています。本当、真面目で、練習も一生懸命やる選手なので。そういう姿を見てますし、こういうのやって何が変わるか分からないですけど。同世代が活躍している。僕もその立場にいたので。同世代が先に活躍して悔しい思いをしている時もすごくありました。ジェイは今年1年、そういう気持ちが強かったと思う。そういう意識を持って取り組んでほしいという気持ちを込めました」
誰もが認める高い能力 期待する気持ちの変化
昨年は開業1年目のエスコンフィールド北海道でチーム1号をマーク。高いポテンシャルとスター性は、誰もが認めるところだ。
「いいもの持っていますし、いい選手なのは誰が見てもね。キャンプ中、解説の人の話を聞いても、みんなレギュラー取れるって、チームを引っ張れるって言っている。僕も見ていてそう思いますし、何か気持ち的な部分で、少しでも変化があればいいのかなっていう感じです」。期待するからこそ、殻を破ってほしいと切に願っている。
選手会長はファンサービスファーストを実践
手締め後には、参加したファンと選手全員がハイタッチ。列の最後に並んでいた少年に、松本剛が着用していたパーカをサプライズでプレゼントし、会場が沸くシーンもあった。
粋な計らい 「喜んでもらえたらなと」
「ファンの方がこだれけ来てくれて、今年1年でファイターズの注目度がより一層、上がったなと選手も感じている部分だと思います。球団としてもファンサービスを大事にしている部分がある。ああやって締めをファンのみんなとできたので、たまたま最後、子どもだったので、喜んでもらえたらなと思いました」
ファイターズを率いるリーダーは、優しくて温かい。