高校野球
2024/11/15 19:55 NEW

夏の甲子園ロード 全国最後の〝支部予選〟が来夏で廃止 北大会の準決&決勝は2年ぶりにエスコン開催

25年から3年間、南北の準決勝、決勝が固定開催されるエスコンフィールド北海道

25年から新方式 支部大会との2段階方式を廃止

 道高野連の第3回理事会が15日に札幌市内で行われ、夏の甲子園を懸けた全国高校野球選手権南・北北海道大会の開催方式を2026年から新方式へ移行することが発表された。支部予選との2段階方式を廃止する。

 また、25年から3年間、南・北北海道大会の準決勝と決勝をエスコンフィールド北海道で固定開催することも合わせて決定。北北海道大会は2年ぶりのエスコン開催となる。

南北で最大128チームのトーナメントを実施

 長年、続いてきた夏の甲子園ロードが生まれ変わる。2016年から北北海道大会は旭川支部など6支部、南北海道大会は札幌支部など4支部で予選を行い、16校の代表校で甲子園を争ってきた。だが、新方式ではそれぞれ最大128チームのトーナメントとして開催する。

広域にまたがる北の大地 2回戦までは支部ごとの対戦

 ただし、あまりにも広域にまたがるため、2回戦まではこれまで通りの運用で各支部ごとに行い、32強が出揃う3回戦から準々決勝までを南北それぞれ2球場で同時開催。最終的には準決勝と決勝を北広島のエスコンフィールド北海道で開催する。

競技人口の減少がきっかけ 22年にワーキングチーム発足

 この措置は急速に進む部員数の減少が主なきっかけだ。今年は南北で合計168チームが出場した。これは過去15年で約3割の減少となる。今夏、支部代表への試合数の地域格差は最大「1」だったが、来年度以降〝1勝の格差〟がさらに広がる恐れがあり、将来的に16代表全てを選出し切れない可能性があることから、22年から道高野連内にワーキングチームを発足させ、検討を重ねてきた。

2回戦までは各支部で激突

 原案では、各支部に配分される全道規模の「32強枠」(新方式の3回戦以上)は、直近の春季大会の出場校数に比例して配分する。そして事前に32強以上の抽選を行った上で、2回戦までの抽選を各支部で行い、1つのトーナメント表を完成させる。

 抽選結果によっては、3回戦から準々決勝の間に函館オーシャンで札幌勢の対戦が実現する可能性もある。

試合数の格差を最小限の「1」に

 26年度について、3回戦から準々決勝までは、北北海道が旭川スタルヒンと帯広の森、南北海道はモエレ沼公園内に来春リニューアルオープンする新球場と函館オーシャン球場での開催を予定している。

 新方式では、2回戦までは奇数チームの参加による1回戦シードが発生する可能性はあるが、32強以上はなくす方針で、これにより試合数の格差は決勝まで進んでも最大で「1」に抑えることができるという。

横山専務理事「多くの学校に他支部と戦う機会を」

 これまで16校だった南北の全道大会枠が32校に倍増するようなイメージだが、これにより支部予選という概念はなくなり、25年度が最後の〝支部代表旗〟の争奪戦となる見込みだ。

 1つ勝てば、全道規模の32強に進出することができる可能性もあり、横山泰之専務理事(50)は「より多くの学校に他支部と戦う機会を持たせるということ」と意義を説明した。

理事会終了後に報道陣へ説明する横山専務理事

 

課題は山積 25年度は準備期間

 加盟校の指導者からは現状維持でいいのではないかという意見も出たというが、横山専務理事は「できなくなってからの検討では遅い。部員の減少は歯止めがかからない」と危機感を抱いている。

 これにより、1強状態にある地区の連合チームや小規模チームもチャンスを得ることができる。新たな移動方法や宿泊などの経費負担、試合数倍増による審判員の確保など課題は山積みで、25年度は準備期間とし、新たに発生する課題への対応を詰めていく。


道内高校球界をけん引してきた指導者の談話

■鵡川の小池啓之監督(73)
「10年以上前から、選手権大会だけはフリー抽選にしようよって、ずっと叫んでたよ。球場だって良いのができてるでしょ。交通網も昔と違うでしょ。だからできるからって」

■クラークの佐々木啓司監督(68)
「運営費とか派遣費を学校で出せるかどうかがポイントじゃないの。(貸し切り)バス移動だって、1日20万ぐらいかかっちゃうでしょ。移動するのに自前のバスがあるとこは強いよ」

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