札幌MF原康介 〝先輩〟の教え胸に最終盤の戦いへ 「数十センチでもいいから相手の先に」
■11月16日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
出場機会に飢えたルーキー 着実に成長中
北海道コンサドーレ札幌はフルコートを使用しての30分ハーフの紅白戦を実施した。
高卒ルーキーMF原康介(19)は約3カ月、公式戦の出場機会がないものの、地道にトレーニングを積み、着実にレベルアップを重ねてきた。序盤戦をにぎわせた若武者がラスト2戦でチームの勝利に貢献すべく、猛アピールに出る。
先手を取ったサブ組 意地を見せたレギュラー組
主力中心の黄色チームと、主にサブ組で構成された青チームによる12対12での変則マッチが行われた。前半を折り返した時点では3-1で青チームが優位に立っていたが、後半に入り、黄色チームが2点を返し、同点に追い付いた。
両軍の選手たちは、どんどんヒートアップ。互いの意地がピッチ上でぶつかり合う中、3-3のスコアで後半終了のホイッスルが吹かれた。
大激戦はPK戦へと突入
これでトレーニング終了と思われたが、決着をつけるべく、紅白戦にもかかわらずPK戦が行われた。先攻の青チームは4人全員が成功させた。一方、後攻の黄色チームは3人目のDF大﨑玲央(33)のシュートがクロスバーに阻まれた。そして4人目のFW菅大輝(26)が放った強烈なシュートはGK中野小次郎(25)に止められた。
チームメート同士による大熱戦は、青チームに軍配が上がった。
惜しくもノーゴール 収穫もあり
この試合、原は青チームの一員として出場した。同点で迎えた後半終了間際、ペナルティーエリア内の左側でパスを受けてシュートを放ったが、惜しくもGKに阻まれゴールならず。ヒーローの座を射止めるまでには、あと一歩、届かなかった。
そんな紅白戦を「もっとできたかな、というのがまず一つある」と悔しさ混じりに振り返った。それでも「最近は仕掛けが少なくなっている気がしていた。それをもっと増やしていこうと自分の中で思っていたので、少し表現できたかな」と手応えを感じた。
ルーキーイヤーから示した存在感
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練習生として参加した沖縄キャンプで実力を認められ、札幌に加入した。第2節のアウェー鳥栖戦で早々にプロデビューを果たすと、7月6日のアウェー鹿島戦で初先発した。その間のリーグ戦21試合で12試合に出場し、2得点をマーク。低迷するチームの中で光を放った。
甘くないプロの世界 遠のいた公式戦出場
だが、故障者の復帰や選手補強の影響もあって、出場機会を減らした。最後の公式戦出場は、スタメンに名を連ねた8月21日の天皇杯4回戦・千葉戦だ。
「メンバーも増えて、その中で自分がチームにどういう価値を示せるかというところで、攻撃や守備の貢献が足りなかったのかなと思っている」。今、自身が置かれてる状況を自己分析する。
MF近藤から受けた金言
そんな現状を打破すべく、チームトレーニングに加え、全体練習後の個人トレーニングにも積極的に励んでいる。公私ともに仲の良いMF近藤友喜(23)と1対1を実施するシーンがよく見られる。
「右(サイド)と左で若干の違いはあるけど、友喜くんがずっと言っているのは、相手よりもどれだけ半歩、出られるかということ。数十センチでもいいから、相手の先に出られたら、グッと行けるというのを言われている」
名古屋戦と湘南戦で見せた有言実行のプレー
〝先輩〟は身をもって体現している。MF近藤は10月19日のアウェー名古屋戦で、敵陣深くへのドリブル突破を見せた。前節のアウェー湘南戦では相手より一歩前に出てのクロスを上げた。いずれのゲームでもMF駒井善成(32)のゴールをアシストした。
目指すは先輩MFとの両サイドコンビ
原は「そこが自分自身まだ足りていないと思う。(相手を)ずらすまではできると思うけど、その後に友喜くんのようにグッと行ける力というのがまだない。アドバイスをもらいながら練習している」
左右両サイドで先輩とコンビを組めるまでの存在になるべく、日々、鍛練を重ねている。
わずかに残るJ1残留の可能性
チームは残り2試合で、わずかながらJ1残留の可能性を残している。原も「やるしかないので、自分たちがやれることをやりきりたい」と覚悟を持ってラスト2戦へと臨む覚悟だ。
そして続けた。「自分の特長を出すことで、チームに貢献できれば」。いつ声がかかってもいいよう、準備は万端だ。序盤戦での輝きを再び―。背番号35が最終盤へ状態を上げていく。