田中正義のオフ限定連載コラム「正義の胸の内」がスタート 支えてくれた人たちへの感謝、「行くだけ!」誕生秘話も
守護神とファンをつなぐ新連載
日本ハムの田中正義投手(30)が道新スポーツデジタルでオフ限定の連載コラム『正義の胸の内』をスタートさせます。シーズン中、野球を思い切り楽しむためにインスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNSアカウントを削除。何かしらの手段でファンへ自分の思いを伝えたいと願っていた右腕が、思いの丈をつづります。
第1回は、ソフトバンクから移籍2年目となった今シーズンを振り返りながら、チームの合言葉「行くだけ!」の誕生秘話を明かしてくれました。
忘れられないCSでの声援
今、ファンの皆さんに伝えたいのは、感謝の気持ちです。チームに迷惑をかけたことが多かった中、本当に温かい声援を送ってくださり、ありがとうございました。
皆さんの応援のおかげで、長いシーズンを乗り切ることができました。特に本拠地開催となったクライマックス・シリーズ(CS)は、球場の声援が力に変わり、自分でも驚くような力が出せました。本当にありがとうございました。
精神的なタフさが求められるリリーバー
6月には一時的にクローザーを外れ、マウンドに上がるのが怖い時期もありました。全員で戦って、つくってきた試合を台無しにしてしまう可能性があるのが、終盤で投げるリリーフというポジションです。いい展開で進んでいたゲームも最後、逆転されて負けたら、チームの士気にも影響してきます。
皆さんと同様、僕自身も今年は去年と違うチームの強さを感じていました。勝ちゲームが増える中で、試合を壊したくない、台無しにしたくないという気持ちが先行して精神的に苦しい時期もありました。
励まされた新庄監督からのDM
そんな中、新庄監督からSNSを通して励ましのDM(ダイレクトメッセージ)をいただいたり、シーズン中、苦しい時に建山さん(前投手コーチ)とミーティングをして、どう打開していったらいいか、いろいろ話をさせていただきました。
伏見や伊藤からも熱いメッセージ
チームメートの(捕手・伏見)寅威さんにも話を聞いてもらったり、(伊藤)大海にも励ましの言葉をもらいました。大海に関しては僕が勝ちを消してしまった試合後であるにもかかわらず声をかけてくれ、熱いメッセージまで送ってくれたこともありました。
挙げたらキリがないぐらい、周りの人に助けられて、シーズン最後までマウンドに上がることができたと思っています。本当に感謝しかありません。
追い求める投手像 貫くネバーギブアップ
今年で30歳になり、僕が目指す選手像に近づくには、もう立ち止まっている時間はありません。投げていく先にしか野球はうまくならないし、前に行くことでしか道は切り開けない。まさに「行くだけ」
この先もさまざまなことがあると思いますが、自らギブアップすることだけは絶対にしないで頑張ります。
あのフレーズが生まれたのは…
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この「行くだけ」というワード…。ある日の試合前、(斎藤)友貴哉が相手打者に対するミーティングが終わった後も、長いこと不安そうな顔でデータを見ていました。データを頭に入れるのはすごく大事なことなのですが、不安が強い状態で投げていたらパフォーマンスは出ません。
グッズも販売され、一気に浸透
僕や友貴哉のような球種が少ないパワーピッチャーは、今はそれよりももっと大事なものがあるんじゃないのかと思い「行くだけ」だろうという話をしました。まさか友貴哉がヒーローインタビューで「行くだけ」を連呼して、球団からグッズが発売されることになるとは思いませんでしたが(笑)
来季への手応えを感じたCSでのピッチング
個人的に満足できるような1年ではなかったですが、来年に向けて手応えは感じています。CSで2試合、投げさせてもらいましたが、その2試合は自分が思い描く理想の感覚に少しだけ近づいた気がします。
もっともっと自分は野球がうまくなれるんだと思えた2試合だったので、苦しくても最後まで踏ん張ったご褒美を野球の神様がくれたのかなと感じてます。その感覚を頼りに、オフシーズンはそれをより強固なものにして、もっと安定したピッチングをできるように練習していきます。
けがなくシーズンを全うした2年間
もう一つ良かったことを挙げるなら、2年続けてけがなく乗り切れたのも大きかったです。今までは自分の体との戦いが長く、痛みが出ないためには? けがをしないようにするには? というノイズが入った状態で野球と向き合わなくてはいけなかった。試合に投げること自体も少なかったですし、本当の意味でバッターと勝負できていない時間が長かったように思います。
試合でたくさん投げることで一番、野球がうまくなると思っているので、この2年でたくさん投げさせてもらえたのは自分にとって本当にありがたい経験です。
オフの課題は全球種のスキルアップ
このオフは、今ある全球種を、しっかり空振りが取れるボールにしたい。そのためには、またイチから体をつくらないといけないと思っています。フィジカルとスキルはつながっているので、スキル練習だけでは良くないですし、トレーニングだけでも良くないので、そこを自分なりにうまく融合させていきます。
来年はさらに強い心技体を持って、もっと安心して見てもらえるようなボールを投げられるように努力していきます。
「皆さんに少しでも喜んでいただけたら」
今後、このコラムでは、オフシーズン限定とはなりますが、胸の内を書かせていただきます。
いつも応援してくださっている皆さんに少しでも喜んでいただけたら幸いです。