今川優馬 打撃強化&球速150キロ到達へ「野球は物理。間違いないです」
狙うはレギュラー奪取 エスコンで自主トレ
日本ハムの今川優馬外野手(27)が19日、エスコンフィールド北海道で自主トレを行った。
このオフは得意の打撃に磨きをかける一方で、守備力アップにも注力する。目指すは球速150キロの大台到達。持ち前の強打に強肩を加えて、レギュラー争いを激化させる。
持ち味は長打力 理にかなった打撃で実現
筋肉隆々の体に、ロジカルな思考を併せ持つ。今川は「野球は物理。間違いないです」と断言する。
身長177センチメートル。プロ野球選手としては決して大きくない体でも、特大のアーチを描くことができる。並外れた飛距離を生み出せる要因は、力学に基づいた打撃論にある。
無我夢中でバットを振った高校時代
高校時代には「とにかく練習して感覚を磨いて、フォームを固める感じだった。そもそも勉強しようと考えることもなかった」。ガムシャラに練習を重ねたが、レギュラー奪取はかなわなかった。
思い付いた感覚の言語化
翌年。プロ入りを目指していた大学1年時に、ふとした疑問が頭の中に浮かび上がった。
「指導者さんは『バットのヘッドの使い方はこうだよ』や『下半身をうまく使おう』と言うけど、それってなんぞや?って。僕は人から教わったことをすぐにできないし、モノマネするのも苦手。だから感覚を言語化しようと思ったんです」
SNSを有効活用
答えを探すために、活用したのはSNSだった。「Twitter(現X)に動画や画像を載せて、野球の理論を詳しく説いている人たちがいた。元プロではないけど、ダルビッシュさんとも意見交換をしていたんです」
効率良い体の動きや、出力の高め方を論理的に説明する外界からの声は、最も求めていたものだった。
豊富な知識に裏付けされた確かな打撃論
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加速度、並進運動、中心衝突に偏心衝突…。打撃論を語る時の今川は、物理学用語を交えながら、報道陣にも分かりやすく動きの意味を解説してくれる。
「例えば『下半身を使え』と言うなら、それは並進運動です。前足に体重が乗って、しっかり加重されれば出力が伝わる。学べば、小さい体でも打球を遠くに飛ばすことができる。ホームランバッターは天性と言われるけど、誰でもなれると思っています。僕でさえホームランを打てるんだから」
ショッキングだった肩の衰え 筋力強化でリカバリー
努力を惜しまぬ男はこの冬に、ひそかな目標を立てている。「150キロを投げたいです」。〝打撃の人〟のイメージを払拭するための強肩化計画だ。2軍で長い時間を過ごした今季、夏場の夜間練習でチームメートらと球速を測定すると、ショッキングな事実に気が付いた。もともとスローイングに自信を持っていたが、計測結果はまさかの132キロ。プロ入りから4年が経過し、知らず知らずのうちに肩が衰えていた。
その後は投球動作につながる筋力を鍛え上げ、遠投などに時間を割いた。トレーニングや体の使い方を見直した結果、2カ月後には9キロアップの最速141キロをマーク。なりを潜めていた武器を取り戻した。
植え付けたいイメージ 「今川は守れる」
「ここから上げるのは難しいけど、150キロを投げられるようになれば、外野から鋭い送球ができる。今年はUZR(守備の貢献度を表す新たな指標)で足の部分では良い数字を出せたので、次はアーム(ARM:送球による貢献を得点換算したもの)でも稼ぎたい。『今川は守れる』となれば、レギュラーに近づけるので」
数字は嘘をつかない。執念をモットーに掲げる男は、強靱(きょうじん)なフィジカルと科学を駆使して、攻守で大化けしてみせる。