ファイターズ
《ハム番24時》11月20日
意表を突くー。これもまた、投手の生まれ持った性質なのだろう。20日のエスコンフィールド北海道では、各選手がオフの課題と向き合いながら、トレーニングに励む姿があった。
午前中にグラウンドへ登場した中島は、キャッチボール相手に玉井を指名。野手と投手がコンビを組むのは、オフならではの光景だった。
黙々と投げ合う2人。お互いの肩が温まった頃に、少しずつ中島の捕球が乱れてきた。理由は明白。玉井が予告なしで、変化球を投げ込むからだ。
右腕は悪びれる様子もなく、淡々と腕を振り続ける。中島はたまらず「いやいや…。(先に球種を)言ってよ!」と声を上げた。2人が織りなすシュールな世界が、周囲の笑いを誘っていた。
練習後の中島に話を聞くと、後輩のイタズラをあきれた表情で振り返った。
「いきなりスライダーを投げてきたり、回転が悪いな?と思ったらシュート。予告もなしに変化球を投げて…。ピッチャーって自分勝手なんですよ(笑)」
守備職人と呼ばれる男は、裏をかく投球術にも屈しない。数々の変化球を華麗なグラブさばきで収め「まだサイドスローを始めたばかり。今のおまえのボールなら簡単に捕れるわって、冗談で言っておきました」。静かに散る火花を、いつまでも見ていたい。