38年ぶり出場の札幌大は逆転負け エース長谷にアクシデント【明治神宮大会大学の部】
■明治神宮野球大会第2日(11月21日、東京・明治神宮球場)
▽2回戦 天理大2ー1札幌大
38年ぶり9度目出場の札幌大は、1-2で天理大に敗れ、38年ぶりの1勝はならなかった。一回に無死満塁から4番・佐野翔騎郎右翼手(4年)の犠飛で先制したが、先発したエース左腕・長谷隼兵投手(4年)が五回に2失点で逆転を許し途中降板。打線は再三の好機に決定打が出ず、2大会連続の4強入りを逃した。
大学最後の投球は不完全燃焼「自分の弱さ出た」
エース長谷が両足に痛みを抱える中、限界までマウンドに立ち続けた。大学最後の投球は5回6安打2失点、奪三振2、3四死球と不完全燃焼。「最後の最後で、自分の弱さが出たのが2点だったかな」。全日本選手権21度と合わせて30度目の全国大会の節目を勝利で飾ることはできなかった。
開始早々打球が左足を直撃
試合開始が約2時間遅れる中、初めての神宮大会のマウンドに向かったが、開始早々にエースをアクシデントが襲った。先頭打者の打球を左足に受けたが「影響はなかった」と、その後も続投。しかし、二回に遊ゴロで一塁へ全力疾走。普段は立たない打席での疲労が長谷の投球に狂いを生じさせた。四回2死で空振り三振すると、両足が悲鳴を上げた。治療を施し五回のマウンドに向かったが、四球と連続安打で無死満塁の危機を招くと、2本の犠飛で逆転を許し五回でマウンドを後輩へ託した。「自分の痛みとチームのことを考え、このまま投げても迷惑かなと思い、コーチとも話してマウンドを降りる決断をした」。その後はベンチ最前列で最後まで仲間を鼓舞し続けた。
旭川龍谷時代の恩師が「あいつのおかげで…」
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旭川龍谷高3年時には、コロナ禍で春と夏の甲子園がなくなった。それでも独自大会として行われた北北海道大会で準優勝。卒業後、初めて教え子の試合をバックネット裏で直接観戦した旭川龍谷の高橋健監督(52)は「あまり表には出さないけど、負けず嫌いだった。あいつのおかげで準優勝できた」と教え子の成長に目を細めた。
3安打の伊藤 得点機で三振「悔しかった」
欲しかった追加点が最後まで奪えなかった。一回に無死満塁から佐野の犠飛で先制したが、後続が続かず。一回に先制の足がかりとなる中前打を放った伊藤は3打席連続安打で1番打者の役目を果たしたが、七回1死三塁の同点機で空振り三振に倒れ「悔しかった」と投手陣を援護できず、肩を落とした。
大会前に天理大のエースが登録抹消。それでも相手は関西五連盟の第1代表。格は断然、相手の方が上だったが、上原哲朗監督(74)は「1点差は残念でならない。きょうの鍵は機動力だと思った。天理とうちは同じようなチームカラーで、先制攻撃が鍵となると思っていたが…。チャンスにひっくり返された。ちょっと残念ですね」。勝機はあっただけに、表情を曇らせた。
この悔しさは次のステージで晴らす
この悔しさは今度は東京ドームのマウンドで晴らす。長谷は来春から道内の企業チームで野球を続ける予定。「多少手応えがあったのも事実。真っすぐで詰まらせた場面もあった。反省はあるが、収穫もあった」。全国の大舞台で得た経験を次のステージにつなげる。