東海大札幌高の鈴木捕手「全国でも攻める野球できた」ミスから敗戦も収穫あり【明治神宮大会高校の部】
■明治神宮野球大会第3日(11月22日、東京・明治神宮野球場)
▽高校の部2回戦 広島商業3-0東海大札幌高
攻守の課題が浮き彫りに
初の4強入りを狙った東海大札幌高は、序盤にミスから献上した3点を取り戻すことができず、打線も五回まで無安打。六回以降、毎回得点圏に走者を進めたが、決定打が出ずに4安打完封負けを喫した。出場が確実な来春の選抜甲子園へ、攻守の課題が浮き彫りになった。
「負け試合はミスから崩れる」
記録に残らない守備のミスが重なった。外野手が続けて打球を弾き、単打から長打へとピンチを広げて3失点。打線も1回戦の大垣日大高戦の二回以降、16イニング無得点に終わった。これで、この秋に就任した遠藤愛義監督(40)の連勝記録は「9」でストップ。「負け試合はミスから崩れる。その部分も立て直したいが、やはり甲子園に出ることになれば打ち合いもできるようにしないと。いい投手から点数を取ることができるかも野球だと思っている」。長い冬へ向け、持ち味の打撃でさらなる強化の必要性を口にした。
試合前の対策が裏目に
投手の攻略で後手に回った。試合前の情報で「変化球がすごくいい投手だったので、逆にそれを狙っていこうと指示をした」と指揮官。ところが変化球は高めへ抜けるボール球が多く、結果的に直球に手を出して五回までの出塁は四球での2つのみ。六回が始まる前に行われたグラウンド整備のタイミングで方針を切り替え、直球狙いに変更してからは何度も好機をつくり出しただけに「ちょっと(狙いと)逆だったので、子供たちを惑わせてしまったのかな」と、対策が裏目に出てしまった。
鈴木が反撃ののろし「真っすぐ狙いで…」
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打線が沈黙する中、気を吐いたのが2番・鈴木賢有捕手(2年)だ。六回2死の第3打席。「2アウトだったので、自分が出て、後ろにつなげるっていう意識で打席に立った」。初球のスライダーを中前にはじき返し、チーム初安打をマーク。「真っすぐ狙いで、スライダーがうまく当たった」。すると、3番の上田就也右翼手(2年)が一塁内野安打で続き、暴投の間に鈴木が三進。4番の太田勝馬一塁手(2年)が三振に倒れて得点にはつながらなかったが、沈黙していた打線に火を付けた。
チャンスでの1本
八回には無死一、二塁で再び鈴木の打席。今度も初球をフルスイングした。中前に抜けそうな当たりだったが、遊ゴロ併殺に終わり、2死三塁からも後続が続かなかった。「ああいう場面では長打を狙っていい場面だったので、思いっきりスイングした。そこで決めきれなかったのは自分たちの課題。帰ってから、しっかりチャンスで1本出せるように普段の練習から意識してやっていきたい」と、ここぞの決定力に磨きをかけるつもりだ。
投手の好リードと2度の盗塁阻止
守っては先発した高橋英汰投手(2年)ら3投手を懸命にリード。三回以降は無失点に抑えた。七回には1死二塁から三盗を阻止し、さらに次打者を四球で塁に出した後も再び二塁への強肩を発動。「しっかり切り替えて、(投手の)良いボールを、ストライクが取れるボールを選択し続けた結果、(三回から)0点で抑えられた」。扇の要として粘り強く投手陣を支え続けた。
この経験を選抜甲子園へ
全国の舞台で2試合を戦えた経験は、必ず来春につながる。「全国っていう場面でも、自分たちの攻める野球ができたのが収穫でした」。方向性は間違っていない。〝タテジマ軍団〟が長い冬を乗り越え、強く生まれ変わる。