中継ぎでフル回転した侍ジャパン・北山亘基 台湾から帰国する機内で再び書いた〝未来からの手紙〟
■ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12
▽決勝 台湾4-0日本(11月24日、東京ドーム)
タフな役割で貴重な経験
侍ジャパンの連覇とはならなかったが、初選出された日本ハムの北山亘基投手(25)は今大会、中継ぎとして計4試合に登板。計7イニングを投げ3失点、防御率3.86ながら、イニング数を上回る10三振を奪った。ロングリリーフ、セットアッパーとタフな役割をこなし、貴重な経験を積んだ。
「一番は(メンバーに)選んで貰った井端監督に感謝です。バッテリーコーチの村田さん、投手コーチの吉見さん、信じてマウンドに送り出してもらえたことにも感謝です。一言では表せないような経験をしましたし、すでに力になってきていると思う。プロ1年目からの経験が全部生きていますし、自分なりにつなげていこうとやってきた結果がいまの形になっている。積み重ねの中で、こういう場所にいると思う。今回の経験も、今後の糧にしたいです」
2年前に侍ジャパンと対戦
今大会2次リーグ以降は、東京ドームが舞台。2試合に投げた北山は、マウンドで2年前のことを思い返していた。入団1年目のオフに日本ハムの一員として、2022年11月に行われた侍ジャパンとの強化試合に出場。七回から登板し、1回無失点だった。
「当時を思い返せば、うれしい展開というか。そっち(侍ジャパン)側で、いつかは投げられたらいいなと思っていたので。ちょっとは成長できたのかなと。侍相手に投げてすごくワクワクしましたし、その気持ちはいまだに覚えていて、不思議な感じがします」
代表に入って終わりではダメ「何も満足していない」
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アマチュア時代を通して、日本代表とは縁がなかった。今回、初めて日の丸を背負い、決意を新たにした。
「大学生のときからプロに入って活躍したいというのがあって、活躍するとなったらそのぐらい(日本代表)のレベルに最低限ならないとダメだなと。入って終わりではダメだと思っていた。今回は入っただけで何も満足していないです。来シーズンはしっかり活躍して、タイトルに絡んでいけるような活躍をして、もう一度こういう場所に戻って来たいですね」
窓の外を見て心が動いた 「今だ」
侍ジャパンの活動期間中、北山にはやりたいことがあった。1次リーグを戦った台湾から日本へ戻る飛行機内。テレビモニターで亡き祖父に教わった数独に興じるなど時間を潰していた右腕は、ふと窓の外に目をやった。「ひらめいて、今だって」。ノートを取り出し、5年後、30歳になった自分になりきって、いまの自分に宛てて手紙を書いた。
「この大会期間で、自分の中でタイミングを探していました。無理矢理、書いたらダメ。意図的になるのではなく、直感というか自分の感覚というか、心が動いた時に書くのを決めていました。つらつらつらと流れるように書いて。面白いことになっていると思います。プロに入る前から目標立ててやっていく中で、段々世界が広がっていく、視野が広がっていくことがあったので、それをこれから先もっと広げていけると感じている。そういうことを書きました。(座席の)同じ列に紅林(オリックス)がいて、あとから『北山さん、ノートに何を書いていたんですか?』と聞かれて、いやいや、まあまあって(笑)」
北山亘基 大学3年時に書いた〝未来からの手紙〟
未来の自分になって、手紙を書くのは今回が2度目。大学3年時にしたためた文章では、3年目での先発ローテーション入りを〝予言〟していた。30歳になる5年後は2029年。侍デビューでインパクトを残した北山の頭には、将来のビジョンがハッキリと描かれている。