【検証・札幌J2降格①】相次ぐ選手の負傷離脱 チームづくりに響き序盤戦の低迷招く
3回にわたって要因分析 第1回は「負傷者」
2017年以降、クラブ史上最長となる8シーズンにわたってJ1の座を守り続けてきた北海道コンサドーレ札幌だったが、11月30日に残留圏内17位の柏が引き分けたことで、9シーズンぶりのJ2降格が決定した。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)が7年目の指揮を執った24年シーズンに降格が決まってしまった要因を、全3回の連載で検証する。第1回は、シーズンを通して相次いだ負傷者について取り上げる。
今シーズンを振り返ると、負傷者が続出した時期が大きく分けて3度あった。沖縄キャンプ、リーグ戦開幕週、そして夏場のリーグ戦8連敗の最中だ。
沖縄キャンプで一時は10人以上離脱
中でも、特にシーズンに悪影響を及ぼしたのが沖縄キャンプだろう。今年1月の沖縄県は非常に降水量が少なく、特にキャンプ地・金武町からほど近い名護市の月間降水量は、平年と比較してわずか28%に留まった。芝生の下の土が乾いて硬くなったピッチ上で練習を行う中で、全体練習を外れて別メニュー調整に回る選手が続出。一時は10人以上が離脱し、地元チームから助っ人を借りて臨んだ練習試合もあった。
これは札幌だけに起きた現象ではなく、同じく金武町でキャンプを張った浦和もまた、今シーズンはケガ人の多さに悩まされた。故障者続出の要因には、練習メニューの内容ということも考えられるが、この2チームの状況を見ると、ピッチコンディションが大いに影響したと言えるのではないだろうか。リーグ中盤戦以降、レギュラーに定着したDF髙尾瑠(28)も、沖縄キャンプの大半を別メニューで過ごしており、チームの基礎を築く大事な時期に札幌は大きくつまずいた。
「思うような準備できなかった」嘆く指揮官
沖縄キャンプ打ち上げの鳥栖との練習試合後に、ペトロヴィッチ監督は「新加入選手も多い中で、チームとしてやるべきことはたくさんあったが、思うような準備ができなかったのが痛かった」と、ままならない現状を嘆いていた。シーズンに入っても監督会見でケガ人の多さや、キャンプでの練習不足による基礎体力の低さを度々口にしていた。
熊本キャンプでFW大森とGK高木が大ケガ
熊本キャンプに入り、札幌は開幕に向けて急ピッチで調整。開幕1週前に行われたJクラブとの練習試合で大量5得点を挙げて勝利するなど、何とか開幕戦に向けて臨戦態勢を整えつつあった。だが、その練習試合の途中にキャンプ中の練習試合で7戦8得点をマークし、開幕スタメンの最有力候補だったFW大森真吾(23、現北九州)が、相手選手との接触で左膝内側側副靭帯を損傷。さらに開幕戦前日の練習では、キャンプ開始時から第1GKの座をがっちりとつかんでいたGK高木駿(35)が左膝前十字靭帯を断裂。攻守のキーマンとして期待されていた2人が、開幕を目前に離脱してしまった。