札幌が降格決定翌日に5失点大敗 FW鈴木武蔵同点ゴールも優勝争い中の広島に屈する
■J1第37節 広島5―1札幌(12月1日、エディオンピースウイング広島)
前日の他会場の結果を受けて、2016年以来9シーズンぶりのJ2降格が決定した北海道コンサドーレ札幌は、広島に先制を許すも、FW鈴木武蔵(30)のゴールで一時同点に追い付く。だが前半終了間際に勝ち越されると、後半は守備が決壊し、終わってみれば5失点大敗。1年でのJ1復帰に向けてのリスタートとなる一戦は、札幌にとって苦しい結果となった。
「最後のアウェー戦に勝って帰りたかった」
先月30日に行われた柏対神戸が引き分けに終わったことによって、この試合の前日に降格が決定した札幌。それでも鈴木が「降格が決まっても、変わらず自分たちのスタイルで、最後のアウェー戦に勝って帰りたいと思っていた」と語ったように、モチベーションを低下させることなく試合に臨んだ。だが神戸のドロー決着によって逆転優勝の可能性が増した広島は、是が非でもホームで勝利を収めたい執念が炸裂し、札幌は完全にのみ込まれてしまった。90分間のシュート数は広島の21本に対し、札幌はわずか5本。鈴木は「思うような結果にならなくて残念です」と悔しさをのぞかせた。
広島は前半8分に先制すると、その後もボールを保持して札幌ゴールに襲いかかった。序盤から苦戦を強いられた札幌だが、苦境を打開したのが鈴木だった。
近藤→武蔵へグラウンダーのクロス
前半42分、MF駒井善成(32)のスローインから、MF浅野雄也(27)、DF馬場晴也(23)とつなぐと、馬場からのダイレクトのスルーパスに反応したMF近藤友喜(23)が、ゴール前でフリーになった鈴木へグラウンダーのクロス。鈴木がGKとの1対1の局面できっちりゴールネットを揺らし、試合を振り出しに戻した。「いい形で友喜が3人目で受けて、たぶん股(の間)を狙ってクロスが入るだろうなと思って、中に入って。関係性も良かったし、シュートも入って良かった」と、同点ゴールのシーンを振り返る。
目標が残っている者とモチベーションの差が…
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
反撃を開始したかに見えた札幌だったが、同アディショナルタイム2分に、遠目からのFKが直接ゴールに入ったことで広島に勝ち越しを許すと、後半はPKやカウンター、CKからのヘディングシュートで3失点。最終的には目標が残っている者と、そうではない者とのモチベーションの差が、大きく出てしまった。鈴木は「チーム力的に広島の方が上手だったと思う」と完敗を認める一方、「自分たちも、もっとできる局面があったんじゃないかとも思っている。シュート本数も少なく、個人的にももっとシュートを撃ちたかった」と、反省した。
「申し訳ない気持ちでいっぱい」
試合後、札幌ゴール裏にあいさつへと向かった際、敵地に駆けつけた約1400人のサポーターからは叱咤激励の声が飛んだ。「今シーズンは本当に苦しいシーズンで、申し訳ない気持ちでいっぱいです。それでも降格が決まっても、アウェーの地に来てくれて、自分たちも本当にうれしいし、そのサポーターの声援に応えられなかったのが悔しいが、これまでずっとアウェーでもホームでもたくさんの人が応援してくれたので、感謝の気持ちを伝えたいです」。
ミシャサッカーの集大成を
その感謝の気持ちをプレーに乗せる機会は、今季はあと1試合、ホーム最終戦の柏戦(8日、プレド)を残すのみとなった。「コールリーダーも言っていたけど、心に残るような、熱い戦いをサポーターは見たいと思うので。今日のようなふがいない試合ではなく、球際の1個1個で戦って、ミシャサッカーをやってきた集大成を次の試合で見せたい」と、気持ちの入った戦いを披露することを約束する。J1の舞台と、ひとときの別れを告げるラストゲーム。1年で復帰を果たすための勢いを付けるべく、必ず勝利で24年シーズンを締めくくる。