コンサドーレ
2024/12/02 20:05

【検証・札幌J2降格②】連係構築の遅れと点取り屋不在が招いたミシャ政権ワーストの得点数

 

第2回は「得点力不足」

 北海道コンサドーレ札幌が9シーズンぶりのJ2降格となった要因を検証する連載の第2回は、得点力不足に泣かされたチームの攻撃面について取り上げる。

 今シーズンの得点数は第37節終了時点でリーグワースト3位タイの42得点。1試合の平均得点は1.14点だった。もちろんミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)が指揮を執ったシーズンの中ではワーストで、前任者である四方田修平監督(51、現横浜FC監督)が守備戦術をベースに戦っていた17年の1試合平均1.15点(34試合39得点)よりも下回る数値となっている。

 昨季はリーグ3位の56得点、1試合平均はミシャ政権下で最多の1.65点だったが、今季はマイナス0.51点と大幅に減少した。その原因として考えられるのが、攻撃面での連係構築に時間がかかったこと、そして攻撃の柱となるストライカーの不在だ。

主力選手の流失

 まず攻撃面での連係構築だが、これには前回触れた負傷者の多発が大きく絡んでいる。昨夏にMF金子拓郎(27、現ベルギー1部コルトレイク)、昨季終了後にMFルーカス・フェルナンデス(30、現C大阪)、FW小柏剛(26、現FC東京)という攻撃の主力選手が抜けたチームにとって、新加入選手たちの戦術理解を深め、札幌のサッカーには欠かせない複数の選手が連動する戦い方を全体に浸透させることが必要不可欠だった。

4月6日G大阪戦の後半、右サイドからドリブルで攻め込むMF浅野(左)

 

近藤の負傷で浅野が右WBでプレー

 だが、チームに負傷者が続出したこともあって戦術の浸透は思うように進まなかった。金子、ルーカスが抜けた右ウイングバック(WB)の後釜として期待されたMF近藤友喜(23)は、キャンプこそ一度も離脱することなく乗りきったものの、開幕戦で負傷して約1カ月間の戦線離脱。復帰後も本職ではない左サイドで起用される試合もあるなど、右WBの定位置確保まで時間を要してしまった。

 その間、本来であればシャドーとして起用したかった昨季チームトップ12得点のMF浅野雄也(27)を右WBに起用せざるを得ず、ゴール付近のポジションから遠ざかったために今季初得点が生まれたのは開幕から約2カ月が過ぎた4月のことだった。

ドリブル突破できる選手の不在

 ミシャサッカーで重要なポイントの一つは、相手陣内のドリブルで数的優位をつくること。1対1で仕掛けて突破することで相手のマークをずらしていき、ギャップをつくって生じたスペースを活用しながら、細かくパスを繋いで崩していく。昨季まではよく見ることができた光景だが、今季序盤戦はドリブルではがせる選手がピッチ上にいなかった。

6月23日横浜M戦の後半、ドリブルで切り込むMF近藤

 

 守備の態勢を整えた相手の前で怖さを感じさせない〝各駅停車〟のパスが繰り返され、結局シュートまで行けずにボールを奪われるというシーンが何度も見られた。近藤が右WBのレギュラーに定着したことにより、ようやく相手をドリブルではがせる選手が出てきたが、入れ替わるように、浅野や2年前のチーム得点王・MF青木亮太(28)、昨季7得点のMFスパチョーク(26)らが相次いで負傷離脱。フィニッシャーが不在となったチームは、得点力を上げることができないまま長いトンネルの中でもがき苦しみ続けた。

今季の開幕スタメンは0トップ ストライカータイプの4選手は…

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