札幌国際大が王者に秘策でジャイキリ狙う キーマンは〝勝利の神〟【4日から日本ハンドボール選手権】
創部18年目で道内公式戦は無敗
日本ハンドボール選手権男子の部が12月4日からエディオンアリーナ大阪で開催され、10月の北海道予選で初優勝した創部18年目の札幌国際大が初出場する。1回戦の相手は今年のインカレ王者の中央大。堅守から少ないチャンスをものにして、ジャイアントキリングを狙う。
インカレ16位で小家主将が残留
今季の道内公式戦では17勝1分と無敗を誇った。東日本インカレでは3勝して予選を首位通過。全日本インカレでは1回戦の九州共立大を倒して16強入りと躍進を遂げた。インカレ後、4人の4年生のうち前主将の小家慧真(4年)ら3人がチームに残った。「自分の代でここまでの快挙を成し遂げられて、ここはもう最後までやりきろうと。今回、インカレがベスト16という形で終わってしまったので、これがベスト8、ベスト4につながるようないい経験として捉えて、中央大学さんと試合できたら」。大きな置き土産を残すため、学生最後の公式戦に挑む。
考えるハンドボール
就任8年目の横山克人監督(34)は「強化が実った」と力を込める。「ずっと終始ブレてないのが『考えるハンドボール』。フィジカルだとか体力値だとか、持って生まれたものがある。スペシャルな選手がいなくても、きちっと戦えるようなチームづくりは、着任当初から意識している。ただ、ある程度の素材がないと強化もできないので、着任した最初の4年間は文化とか環境を整えることに時間を割いていた。いま、4年間の2サイクル目なので、ここで強化というところを非常に意識をしている」。8年目で取り組みが結果として現れた。
ディフェンスの徹底が結果、自信に
チームのテーマは堅守。「目指すところは、やっぱりディフェンス。簡単に点が入るスポーツなので、常々言っていることは『点は1人でも取れる。ディフェンスは6人プラスゴールキーパーと協力して7人で失点を防がないとできない』。とにかくディフェンスは着任当初から『戻りなさい』『ディフェンスをサボらない』。この二つを徹底してチームの文化として根付かせてきた。いまは選手たちが、すごく自信を持ってプレーしている。結果が彼らの自信につながった」とチームの成長を感じている。
横山監督「ネガティブな戦術にはなるけど…。奇策を仕掛けないと」
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秘策は準備している。「正直な話、ジャイアントキリングが起きにくいスポーツ」とした上で、「ネガティブな戦術にはなるけど、攻撃回数を減らす。多くなればなるほど(隙をつくり)相手にシュートにいかれるチャンスが増える」と戦略を決めた理由を明かす。これまで1試合に65回ほどだった攻撃回数を意図的にセーブし、少ないチャンスで得点を狙う。
さらに「すごいリスキーな戦術がある。ゴールキーパーを下げてのパワープレーで、7人でゴールを狙う。その間、ゴールは無人になってしまうけど、ちょっと奇策を仕掛けないと。勝つことを目標にすると、そういった戦術をとっていくしかない」。最後は捨て身の戦法で勝利の可能性を探っていく。
野球から転向した神 経験がプラスに
守備の基本陣形はGKを除くフィールドプレーヤーがゴールエリアラインに沿って半円状に一列に並ぶ「一線ディフェンス」。その中で指揮官が「守備の要」と期待を寄せるのが、中学1年までは野球部で外野手だった〝勝利の神〟こと、神諒宗(まさむね、3年)だ。
神は札幌南陵高入学後に部活動紹介で競技を知った。「見たことのないスポーツがあるな、面白そうだなと思って入りました。野球は跳んで投げることはないけど、ハンドボールは跳んでゴールに投げる。他にはない」と転向を決意。札幌国際大入学後は「1年生の頃から監督にすごくディフェンスのことを指導されて、他の人よりディフェンスに対する熱意もあったと思うので、ここまで来れた」と胸を張る。
指揮官も「投げる動作がハンドボールは必要になってくるので、その投げの経験値があるという点では非常にプラスに働いている」と、目を細める。
高さを生かし攻守で一矢報いる
身長はチーム最長の184センチ。もちろん、守備だけではなくて攻撃にも参加する。「自分たちのやってきたことをやって、個人ではどこまで守れるかと、自分の高さがどこまで通用するかを試していきたい」。大学ハンドボール界の〝巨人〟に、痛烈なひと刺しをお見舞いする。