札幌MF駒井善成「自分が点を取って終わりたい」ミシャと共に歩んだ9年間を勝利で締めくくる
柏戦に向けてプレドで調整したMF駒井=撮影・桜田史宏
■12月6日、札幌・大和ハウスプレミストドーム
北海道コンサドーレ札幌は8日に今季最終節のホーム柏戦が行われるプレドでトレーニングを実施し、11対11などを行って調整した。4日に今季限りでの退任を発表したミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)の札幌ラストゲームとなる一戦。浦和時代から通算9年間に渡って指導を受けてきたMF駒井善成(32)が、名将の有終の美を飾るため、自らのゴールで勝利へと導く。
自分の能力を引き出してもらった
「自分にここまで長いことサッカーをさせてくれた。ミシャなしでは、今の自分のところまでは絶対にたどり着いていないと思うので、本当に自分の能力を引き出してもらったなと思う」。まもなく迎える恩師との別れの時間。その日を目の前にして、駒井はペトロヴィッチ監督との9年間をしみじみと振り返る。
J2下位のクラブからなぜ自分が
駒井とミシャが最初にタッグを組んだのは2016年のこと。前年のシーズンオフ、当時J2の京都に在籍していた駒井の元に浦和が興味を持っているという話が舞い込んできた。「僕は最初、『何でかな?』って思って。その年(京都)は17位で、全然成績も振るっていなかったし、ビッグクラブの浦和がJ2から選手を獲るというのは、それまではなかったので。ミシャがいろいろな試合を見てくれて、J2もたくさん見る中で、僕もたまたま見てもらっていたような感じ。間違いなく人生を変えてくれたと思う」。
浦和時代から通算9年間、ペトロヴィッチ監督(左)から指導を受けてきたMF駒井
過去の指導者の中でも特別に深い感銘
指揮官の慧眼に見いだされて浦和に加入した駒井は、初めて触れた〝ミシャイズム〟に深い感銘を受けた。「京都の育成から、ずっといろいろな指導者に教えてもらって、いろいろなことを考えながらプレーさせてもらっていたけど、ミシャはその中でも特別だった。『なるほどな』ということが本当に多かった」。
「どの監督よりも…を一番教えてもらった」
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他の指導者と特に異なる点として、〝3人目の意識〟を挙げる。「どの監督よりも、ボールを持っていないときの動きを一番教えてもらった。だから今は、ボールを持っていないときに味方の状況、相手の状況を見て、3人目がどこに動かなければいけないという判断に対して、頭の回転が早くなったと思う」。
ドリブルで攻め上がるMF駒井(中央右)
一人の男として大切なこと
恩師は前節アウェー広島戦後の監督会見で「95%、私自身も監督としてのキャリアを終えるかもしれない。それはまだ確定はしていないと思うが、現段階の自分の中では、そういう気持ちだ」と、30年以上に渡る監督業からの引退を示唆した。駒井は「正直、寂しい気持ちはある。年齢を重ねていく中で、足の調子が良くない時期も多かったりするし、家族とも離ればなれ。そういう面を考えると、国に帰って、ゆっくりと奥さんとの時間を一緒に過ごすというのも、僕は一人の男として大切だと思う」と、ミシャ自身や家族の苦労をおもんばかった。
日本サッカーのためにも続けてほしい
だが一方で、「やれるならやってもらいたいな、という気持ちはある。ミシャとサッカーをやることによって、うまくなる選手がいっぱい増えると僕は思っているし、ミシャのサッカーに触れて、その価値観を知ることで、そのチームではたとえうまくいかなくても、違うチームで成長できるとか、そういうチャンスがあると思う。日本サッカーのためには、僕はミシャの下でやれるのはすごくいいことだと思っている」と、〝残りの5%〟に期待する。

ミシャではなく最後は札幌のために
2日後に迫った柏戦。既にJ2降格は決定してしまったが、駒井や選手たちはただの消化試合に終わらせる気はさらさらない。「自分が点を取って、勝利に導いて終わりたい。でもそれはミシャのためにというより、僕は札幌のために、最後に得点を取って、勝ち点3で締めくくりたい」。苦しいシーズンとなった24年を白星で締めくくり、来年は1年でのJ1復帰を成し遂げる。駒井は恩師への思いを胸に最終戦のピッチへ向かう。
