【プレーバック・写真入り】J1第38節 札幌1-0柏(12月8日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
ミシャのラストマッチで最後まで攻撃的サッカー貫く
北海道コンサドーレ札幌はホームで柏レイソルと今季最終戦を行い、1-0で勝利した。すでにJ2降格が決まっている札幌と、勝ち点41で16位と、試合前の時点ではまだJ1残留が確定していない柏の一戦。柏は勝ち点1でも奪えば自力で残留を確定させる状況で、札幌も今季限りでの退任が決まっているミハイロ・ペトロビッチ監督(67)の7年間の集大成ということもあり、両クラブは試合序盤から激しい戦いを繰り広げた。
4-4-2の布陣の柏に対し、札幌もバンディエラのMF宮澤裕樹(35)がDFラインに加わり4バックで対抗した。その宮澤が後方でのビルドアップを安定させ、守ってはうまくバランスを取りながら的確なカバーリングでピンチの芽を摘んでいった。
すると前半5分、MF駒井善成(32)が中盤右サイドから縦パスを入れ、MF浅野雄也(27)がワンタッチで落とすと鈴木武蔵(30)がゴールへ向かってドリブルを開始。3人目のMF近藤友喜(23)もゴールへ向かって動き出し、その近藤へ鈴木がスルーパスを通した。受けた近藤は相手GKをフェイントでかわし、無人のゴールへ落ち着いてゴールに流し込んだ。近藤の6試合ぶり今季5得点目で札幌が先制に成功した。
同40分には柏の日本代表FW細谷真大(23)にゴールネットを揺らされ、一旦はゴールが認められたが、その直前の空中戦でDF岡村大八(27)に対するファールがあったとされ、VARの末に取り消しとなった。
後半に入ってさらに両クラブの戦いは激しさを増していった。前日に契約満了が発表された札幌FW菅大輝(26)、駒井が躍動。同2分、菅が左サイドの空いたスペースでドリブルを開始し、相手の一人を股抜きで抜いてスピードアップし、ペナルティーエリア手前で強烈な左足シュートを放つ。同13分には駒井がペナルティーエリア右からグラウンダークロス。浅野がスルーして、菅がフリーでシュートを放ったが、これもあと一歩のところで阻まれてしまった。
同31分には柏の細谷がダイレクトボレーを放つも、札幌は辛くもクロスバーに助けられた。それでもペトロヴィッチ監督はMF荒野拓馬主将(31)やFW白井陽斗(25)らを入れて札幌らしい攻撃的なサッカーを展開。アディショナルタイム5分を含め、最後まで2点目は奪えなかったが、J1初先発だったGK児玉潤(27)を中心に札幌はクリーンシートで試合を締めくくった。
終了直前までテクニカルエリアの最前線で選手と共に戦った指揮官は、終了の笛が鳴るといつも通りスタッフの一人一人と握手を交わし、ピッチを降りた。小学4年から札幌のアカデミーで育ち、この試合でJ1通算250試合出場を果たした菅は戻ったベンチで号泣し、タオルで顔を覆った。
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■先発出場でJリーグ通算500試合出場を達成したMF宮澤裕樹(35)
「勝って終わることでサポーターの皆さんの気持ち的にも来年につながると思っている。(監督と4選手が契約満了し)いろいろな思いがある中でのゲームだった。僕自身、ミシャとも良い時期を過ごさせてもらったし、菅は若いときから一緒にプレーさせてもらった。(駒井)善成も7年間一緒にチームを引っ張ってきた仲。どうしてもミシャがしゃべったり、菅の話になると、試合に集中できない気持ちになりそうだったので、できるだけ考えないようにしていた。(Jリーグ500試合達成は)ミシャさんもそうだけど、ここまでいろいろな監督に出会って、試合に使ってきてもらって。自分一人の力ではないし、うれしいけれど、またこの数をどんどん増やしていきたいと思ったし、年齢も上がってきたので、一試合一試合、チームに貢献できるように、質を高めていきたい」
■今季から主将を務め、最終節に途中出場したMF荒野拓馬(31)
「ホームで2万人以上のサポーターが駆け付けてくれると、きょうみたいな良い試合っていうのは多く出せると思うので、すごく力になる。来季は1年でJ1に戻るぞとみんな言ってますけど、そんなに簡単なものじゃないと思う。来季から新しいメンバーでJ2を戦い抜いていかないといけない」
■J1初スタメンで完封勝利に貢献したGK児玉潤(27)
「試合の雰囲気や緊張感というのは、やっぱりピッチに立たなければ感じられないものなので、その雰囲気やプレッシャーに順応できるまでちょっと時間がかかってしまったことが、個人としては反省というか、新たな収穫だと思うし、この緊張感の中で戦いたいと思った。だからこそ1年で絶対にJ1に戻って来なければいけない。また残留争いは絶対にしたくないので、そのためにはJ2で圧倒的な結果を残して、優勝という形でJ1昇格しないと、その先は厳しいと思うので。来シーズンの開幕までの時間というのも、もうスタートを切っているので、オフの期間を自分が成長するための時間にしたい」
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