札幌退団のFW菅大輝 涙のラスト90分「また赤黒のユニホームを着られるように」
■J1第38節 札幌1-0柏(12月8日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
前日に契約満了の発表
涙の〝ラストゲーム〟―。前日7日に今季をもって契約満了となることが発表された北海道コンサドーレ札幌のFW菅大輝(26)が左ウイングバック(WB)で先発フル出場し、最終戦勝利に貢献した。アカデミー時代から札幌一筋の道産子レフティーはこの試合を最後に、一旦札幌を旅立つ。思い出がたくさん詰まっているプレドのピッチを存分に味わった90分間だった。
小学4年から17年間の思いが涙に
目に映る光景が全て、胸を打った。試合終了後、チームメートやスタッフらとハイタッチを交わしながら、あふれ出る涙を止めることができなかった。ベンチに座り込み、しばらくタオルで顔を覆い続けた。小学4年のときから札幌U-12、15、18と所属し、トップチームへと昇格。人生の半分以上を札幌の一員として戦い続けた菅にとって、全てを振り返るにはあまりにも短い時間だった。セレモニー後、サポーターにあいさつする際も涙した。
試合中も退く宮澤に声を掛けられて
イベントの全てを終え、気持ちを切り替えた菅は、「結構、泣きべそなんで。本当はめっちゃ我慢しようと思ったんですけど、出てきちゃいました」と笑った。宮澤が後半15分にピッチから退くときにも「またやろうな」と声を掛けられ、泣いた。「試合中にも泣いちゃっていた。(宮澤)裕樹さんに言われて、だいぶ泣いちゃった。小学4年生からお世話になっている。あと、本当にこのピッチしか、他に行かず、ここ一筋でずっとやっていたので、やっぱりこみ上げてくる思いっていうのはかなりありました」。
2日前にGMから告げられ 来季は減俸でも残留する考えあった
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主力の1人としてJ2降格の責任も大きく感じていた。しかし2日前、三上取締役GMから契約を更新しないことを告げられた。「J2に落としてしまった責任もあるので、提示をもらえれば、減俸でも(残留する)考えはありました」と心境を明かした。ただ、こうなったからには現実を受け止めて、前を向くしかない。「できればJ1で、日本のトップのリーグでやりたい」と熱望した。
またこのチームに戻って来られたら
また、札幌でプレーしたい気持ちは隠さなかった。「来年1年で昇格するっていう舞台に、このドームに立てないっていうのは辛いですけど、他のチームで頑張らなきゃいけない。それでまたこのチームに戻って来られたら」。この経験を糧にさらに成長して戻って来る―、そんな強い意志を感じさせた。
成長させてくれたミシャへ感謝の思い
レギュラーへと定着させてくれたのは、ペトロヴィッチ監督だった。「本当に事細かく指導していただいて、きょうの試合でJ1(通算)250試合を達成できたのもミシャさんのおかげ。日本代表だったり、年代別の代表とかも経験できたのはミシャさんの力なので、本当に感謝しきれないぐらいの思い」と大きく成長させてくれた恩師に感謝の気持ちを示した。
不発だった〝菅キャノン〟が心残り
FW登録としてのプライドも覗かせた。「一個、心残りがあるとすれば、(駒井)善成くんの折り返しからのやつは決めたかった」と後半13分、駒井のクロスに反応したシュートを決められなかったことを悔やんだ。
サポーターのおかげで大きくなれた
「プロだと8年間、本当にコンサドーレサポーターの皆さんのおかげで、ここまで本当に大きくなれたと思ってます。またチームは変わりますけど、そこでさらに経験を積んで、活躍して、またこの赤黒のユニホームを着られるように頑張ってきます。応援、ありがとうございました」。最後も、菅の目はにじんでいた。