《柏戦後》過去にいつだったか思い出せないくらい、試合の後はすごくさわやかな気持ちになった
■J1第38節 札幌1-0柏(12月8日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
―試合を振り返って
非常に難しいゲームだった。柏は質の高いチームであり、彼らも今日は残留が懸かっているゲーム。我々は反対に降格が決まってしまったゲーム。そういう状況の中で試合に入っていくにあたって、気持ちの準備で非常に難しい部分もあったと思う。ゲームそのもの自体も難しかった。
昨日も選手たちに話したが、今シーズンこういう結果に終わった中で、どんなにうまくいかない状況の中でも、常に選手たちを後押ししてくれたサポーター、応援してくれた方々のために、今日のゲームというのは、しっかりと良い試合を見せなければいけないし、勝って、たくさん残念な思いをした人たちに、少しでも勝利という喜びを届けたい、そういう思いを持った試合にしなければいけないという話をした。選手たちは今日、そうした思いを持って、強い気持ちを持って戦ってくれたと思う。
残念ながら我々は勝利しても順位が変わるような、そういう試合ではなかったが、やはり勝利することで、少しでも応援してくれたサポーターの皆さんに喜んでもらえる、最後に勝って、残念だったシーズンを少しでも良い気持ちで終えられる、そういう試合にしようという話をした中で、選手たちはそういう思いを持ってベストを尽くして戦ってくれたと思う。
今シーズン、特にうまくいかない状況の中でも、サポーターの皆さんは遠いアウェーにも、たくさんのお金と時間を使って、我々チームを後押しするために応援してくれた。非常に多くの方々の応援がありながらも、残念ながら降格というシーズンの終わりになったが、最後に選手たちが皆さんの思いに応える、そういう試合ができて良かったのではないだろうか。
【札幌ペトロヴィッチ監督ラストゲーム 教え子たちが「7年間の積み重ね」で生んだゴールで白星締め】
―先制点はこれまで教えてきた複数の選手がボールに絡んだ得点
この7年間、我々がずっとやり続けてきた攻撃的なサッカー。その一部が今日も、得点という形で生まれたことというのは、我々がやってきた積み重ねだと思う。
私自身は監督として、常に攻撃的なスタイル、哲学を持った人間であり、どのチームに行っても、人々を魅了する攻撃的なサッカーをする。その信条を持って、これまでずっとやってきた。それは変わることなくずっと続いてきたことであり、そしてこのチームでもそういうことを取り組み続けてきたし、それを選手たちがやり続けてくれた。
それが今日、最後に形になったというのは、私自身それを信じてやり続けた選手たちを褒めてあげたいと思うし、私自身はこれからも、そうしたサッカー観というのはあまり変わらない。うまくいけばそれを称賛してもらえるし、それがうまくいかなければ批判される。サッカーの世界はそういうものだろう。私自身は、自分の信念を曲げることなく、自分のスタイルを貫いてきた。
サッカーというのは、私は見る人があってのスポーツだと思っている。サポーターあってのスポーツだ。だからこそ私自身は自分のトレーニングをクローズすることはない。なぜなら、我々のトレーニング、試合、それを含めて、やはり見てくれる人、応援してくれる人があっての我々のサッカーで、我々の活動だからだ。もちろん良いトレーニングができたときもあれば、そうじゃないトレーニングのときもある。そうじゃないトレーニングを見た人が、もしかしたら「今日のトレーニングは良くなかった」という批判をすることもあるかもしれない。ただ、それもサッカーだと思っている。
見ている人たちの「面白い、面白くない」「良い、悪い」、そういう評価の中で我々は生きているが、そういういろいろな方々の見方がある中でも、私自身の攻撃的なサッカーというのは、私の信念というのは、曲げることはない。
―契約満了のFW菅とMF駒井には何か言葉を掛けて送り出したか
2人に対しては、特別何かは言わなかったが、とにかく今日のゲーム、これまで通り良いゲームにしようという話は2人にもした。私自身が来シーズンもいるなら、また違うことを話したかもしれないが。
ただ、クラブがそういう判断をした。2人が契約満了になった中で、彼らが良いゲームをして、良いプレーをすることで、次の自分の道が開けてくると思うので、彼らはそういう思いを持ってプレーしたのではないかなと思っている。
2人には、今日のゲームも良いものにしようと。まずそのことを試合前に話した。
【札幌退団のFW菅大輝 涙のラスト90分「また赤黒のユニホームを着られるように」】
―今年1年間を総括して
最終的に、我々は残留するという最低限の結果というのを得られなかった。シーズンとしては決して良いシーズンだったとは言えない。
―札幌でのラストゲームで、家を出るときやプレドに入るときにいつもと違う感情は
降格がもう既に決まってしまった後の試合ということで、本来であれば消化試合。ただ、私自身は非常に強い気持ち、高いモチベーションでこの試合に臨んだ。
もちろん毎試合毎試合、私にとって目の前の試合というのは重要なゲームであるし、強い気持ちを持って取り組んできたが、今日のゲームというのは、その中でも特に勝ちたいという気持ちが強かったゲームだ。
それはなぜかといえば、こういう結果に終わってしまったシーズンで、少しでも我々を支えてくれた人たち、応援してくれた人たちに、勝って少しではあるが喜んで終わってほしい、そういう思いがあったからだ。そういう思いがあった中で、自分自身、非常に強い思いを持って、試合に臨んだ。
―最後の試合が終わった瞬間、どんな感情が湧き上がったか
久しぶりというか、過去にいつだったか思い出せないくらい、試合の後はすごくさわやかな気持ちになった。あるいは、多くの人たちの思いに応えられたという、そういう感情が芽生えた。
こういう結果に終わってしまったシーズン、それでも最後に我々を応援しに来てくれた皆さんのために、何とか勝ちたいという思いがあったし、その試合に勝てたというその瞬間、少し力んでいた思いがすっと抜けたような、そんな感じの気持ちだった。少しではあるが、皆さんに喜んでもらえるような、そういう試合にできたことは、私自身、本当に良かったなという思いだ。
【一問一答:小野伸二O.N.Oが札幌のJ2降格、ミシャの退任、盟友・稲本の引退について語る】
―(自ら報道陣に向けて)
明日、私が退任会見をやることになっているが、ここにいる報道陣の皆さんが、そこにいらっしゃるかどうか分からないので、この場で一回、改めて皆さんにはあいさつをしたい。
7シーズン、私はここで監督をさせていただいて、本当に皆さんに感謝しかない。皆さんは結果がうまく出なかったとき、そういったときはいろいろ指摘したいところもあったのではないかと思うし、批判的なことも書きたいときもあったんじゃないかと思うが、ただ私の31年の監督のキャリアの中で、これほど地元のメディアの方が、チーム、クラブを応援している、そういうマインドを持って仕事をされているというのは、私は経験したことがない。
この7年間、私が仕事をしてきた中で、チームをつくる、チームをJ1に安定させて戦っていく、そういった仕事の中で、皆さんのそうしたポジティブな前向きな報道がなければ、我々は、私自身は、こうした7年間の仕事というのはできなかった。
ネガティブな結果の中でも、必ず皆さんが何かポジティブなものを見つけて、それにスポットを当てて、チームを後押ししている。そのことというのは、我々にとって非常に大きな大きなサポートになったと思う。
だからこそ、この7年間、皆さんと一緒に過ごしてきた中で、共に仕事ができたことというのは非常に幸せだったと思うし、私にとっての誇りだと思っている。もし明日いらっしゃらない方がいれば、その方に関しては、皆さんのこれからのご活躍とご健康をお祈りしてます。明日会う方は、また会いましょう。
7年間、良い仕事ができて、本当に感謝しています。(日本語で)ありがとう。