慶応高野球部・森林監督が講演「エンジョイ・ベースボール」の根幹にある考え方
札幌市内で高校教諭対象に研修会
北海道高等学校体育・野球連盟合同研修会が13日、札幌市内で開催された。講演会では昨夏の甲子園で優勝した慶応高野球部の森林貴彦監督(51)が講師として登壇。100人以上集まった教諭の前で「『勝ち』と『価値』の両立」について、講演を行った。また、日本ハムで2015年まで1軍ヘッドコーチを務めていた阿井英二郎さん(60)と旭川志峯高陸上部の榎本慎吾監督(38)も「チームの育成」について講演した。
従来のイメージ覆すチームで甲子園の頂点に
高校野球の常識にとらわれることなく、チームを日本一まで導いた。森林監督は「高校野球とイメージしたチームじゃないチームで勝ちたい。それが結果的に高校野球の幅を広げることになりますし、多様性を体現することになります」と訴えた。「エンジョイ・ベースボール」を掲げて頂点まで駆け上がった。髪型も坊主ではなく自由にするなど、古い体質から脱却。「こういうものがイノベーションを作っているときに邪魔をしている。足かせ、重しになっている」とキッパリ。
出されたサインに絶対服従ではなく…
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勝利至上主義ではなく、人間力育成を含めた成長至上主義を押し進める。「個人の成長、チームの成長を第一に考える。それが最終的にチームの勝利につながるんじゃないか」。選手たちにも常に考えることを植え付けている。「(野球は)攻撃のとき監督からサインが出て、監督依存が強くなりやすいスポーツ。サイン通りにやる選手がいい選手となっちゃう。言われたことしかやらない人材を大量生産しているのが高校野球だとしたら、こんなに罪深いことはない。サインを出したときに選手が頭の中で『ですよね』って思ってほしい。そういう思考でサインを見てほしい」と、自ら思考できる人間へと成長させることが使命だ。
高校生は大人? 子供? 両者の長所を引き出したい
また、慶應義塾幼稚舎の教諭を兼任していることで独自の視点を持っている。「高校生が非常に大人に見える」と言い切る。「大人としての良さを伸ばす。一方で小学生と一緒だなと思うところもある。そういう大人としての長所、子供としての長所の両方を引き出せる指導をしたい」と森林監督。実際に取り組んでいることも紹介しながら、約1時間にわたって語り尽くした。