【年末特別対談】郡司裕也×山本拓実~前編~ ㊙エピソード披露 球宴翌日にすし屋で…
さあ、昨年に続いて息ピッタリのコンビが登場!
飛躍の移籍2年目シーズンを終えた郡司裕也捕手(27)と山本拓実投手(24)のスペシャル対談が、今年も実現した。前編では昨年末に設定した〝裏目標〟を達成した郡司の思いや、オールスター出場の裏にあった2人の心温まるエピソードをたっぷりとお届けする。
さすがはトーク番長 「憧れるのは、やめましょう」
ー移籍2年目のシーズン、お疲れさまでした
山本「道スポ読者の皆さまも、1年間お疲れさまでした。今年も年末特別対談の時期になりました。きょう(取材日は12月8日)はトークショー終わりで、北海道新聞社の新社屋にお邪魔してます」
郡司「たくさんの温かな応援をありがとうございました。ところで、やまーん。今年の服装はカッチリしてるね。僕が去年、トークショーでジャケットを着ていたからって。『憧れるのは、やめましょう』なのに。逆に僕はカーディガンです」
山本「去年、トークショーでパーカーを着て緩い雰囲気で行ったら、郡司さんはカッチリしてたので。きょうは遠征へ出る時に着ているセットアップにしました」
ともに充実の1年 チームのAクラス入りに大貢献
郡司「へぇ~。では、私から振り返ってもよろしいですか? 波瀾万丈なシーズンでございました。まさかのサード挑戦から始まり、こんな1年になろうとは。不思議な気持ちですね」
山本「僕も今までに経験のないシーズンになりました。Aクラスに入ったのが初めてだったので。これだけチームが勝って…」
郡司「(中日で)Aクラスに1回入ってるから!」
山本「CS(クライマックス・シリーズ)やポストシーズンは初めてだったので。優勝へ向かう経験ができて、すごく良い1年でした。春先はコンディション不良で苦しみましたけど、それも含めて良い時間でした」
三塁手部門でファン投票100万票超え!
ー郡司は初の球宴出場。スターダムを駆け上がった
郡司「いえいえ、こんなものではございません。天井は高いですから。僕はまだまだと思っています。青天井です。でも、まさか三塁手で(ファン投票)100万票を超えるとは…。運とタイミングに恵まれている人間だな、とつくづく思います」
山本「自分で言います?」
郡司「(食い気味に)はい! エスコン開催でファイターズファンの皆さんが盛り上がってくれましたので。トレードもファイターズがエスコンに移ったシーズンでしたし、会社としても変革の時期。そのタイミングで、われわれは入社することができて、なんて恵まれているんだと。今まで真面目に生きてきて良かったです」
背中と口と顔で…
ー山本は郡司の活躍に刺激を受けたか
山本「僕は前半戦、ファームにいて試合に出られなかった。どんどん高いところへ郡司さんは行ってたので、僕も負けないように、置いて行かれないように頑張ろうという気持ちでした」
郡司「先輩として、あるべき姿を見せましたよね」
山本「それも自分から言う人は、あまりいないです(笑)。先輩の背中を見せてもらいました」
郡司「背中だけ見せても理解してもらえないことが多いので。背中と口と顔と、いろいろな部分を使いながら姿勢を見せていければなと思い描いています」
人知れずしのぎを削っていた2人 軍配は…
ー昨年末に郡司は裏テーマを掲げていた。あらためて説明を
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山本「昨年末のこの場(道スポ対談)で、郡司さんは『来年は、山本の年俸を絶対に超える』と宣言してました。2人の間では今年も、どちらの年俸が高くなるか、マウントの取り合いが起きてました」
郡司「ダサマウントね」
山本「はい。お互い人間が小さいなと思いながら(笑)。でも、それを少しモチベーションにしながら、楽しみながらやっています」
ー来季は逆転する
郡司「ありがとうございます。かなり差は開きましたね。金額だけではなく、見えない部分も。それは人間としての器、深みでしょうか。僕も27歳になって中堅の仲間入りをする年齢。一歩先を行かなければいけませんよね」
まだまだ〝銭闘〟は続く 引退後も!?
ー勝負は来季以降も続く
2人同時に「永遠です」
郡司「野球を引退しても、です」
山本「引退後は生涯年俸で、ずっと言い合ってると思います」
郡司「セカンドキャリアでどういう仕事をしてるかも含めて、戦っていきます。ピリオドのない戦いです」
山本「僕が逆に追いかける立場になったので、郡司さんを超えるとなれば、より良い成績を残さないと」
郡司「そうやって高め合っていく」
山本「お互いに毎年、上がっていって、最後にちょっと僕が勝ちます」
郡司「そういう算段なの?」
山本「(ニッコリ笑って)はい」
お金であってお金ではない戦い!?
郡司「人間は追われる方が大変だといいます。初めてこの立場になるので、追い付かれないようにしたいですね。金額だけでなく、人間的な部分でも『俺に付いてこい』と言えるように」
山本「これは(年俸が)負けていた時も言ってました。『(勝敗は)金額だけでは決まらない。結局は人間性だから』って」
郡司「表向きには金額の勝負ですが、本質は違います。お互いを高め合いながら、人間性を磨いていくことが大切。金額は指標の一つで、目に見えて分かりやすいから勝負しようと言ってますが、本当はもっと…フフフ。無理やり話をまとめようとして、着地点を見失いました」
山本「簡単に言葉にはできないけど、お金だけじゃないよってことですね」
郡司「そう、そう、そう」
山本「分かりやすく言うと、年俸だけど、そこ以外の細部でも仁義なき戦いが繰り広げられている」
郡司「仁義なき? 礼儀も足りないけど、そこ(年俸勝負)に年齢差は関係ありませんからね」
手のひらの上で転がされて防御率0点台!
ー年俸勝負の裏にはエピソードがある
山本「そうです。オールスターに選ばれた郡司さんを祝うために、球宴翌日におすし屋さんへ行きました。そこで前半戦が終わったばかりなのに、郡司さんは『これは絶対、おまえの年俸超えたわ~』って言ってて…」
郡司「日本酒を片手にね」
山本「シーズン中で頑張る時期なので、僕は禁酒中。まだ終わってないのに、そんなことを言われて『なんやコイツ~!?』って。ここからめちゃめちゃ頑張って、終わった時に、なんやかんや僕が勝ってたら、いろいろ言えるなって思ってました。そこから後半戦は成績が良くなって、防御率も0点台(0.93)だったと思います」
郡司「全てが計算通り、思惑通りですよね」
山本「結果的に、手の平の上で転がされていました」
郡司「そこに気が付けたのは、さすがです。思い描いた通りに頑張ってくれました。僕は僕で後半戦に成績が落ちたので、大きいことを言ったり、調子に乗ってはいけないとの教訓を得ました。お互いに勉強しながら人生を進んでまいります」
やっぱりサイゼリヤ 来年はデザートまで!
ー実際に年俸が上回っての感想を
郡司「プロ野球は年功序列なので、年俸が高い後輩にも先輩がおごります。分かりやすくて良いですが、年俸が高い後輩におごる時には『なんで?』という気持ちも当然、芽生えます。プロ入りした年数でいえば、山本の方が職歴は長いのに。今後は年齢と金額で僕が上に来たので、納得して財布を出せますね。サイゼリヤに連れて行きます」
山本「半熟卵、乗せてもいいですか?」
郡司「許可します。ワインも100円ですから、飲み放題で良いですよ。デザート? 僕の稼ぎではまだ早い」
山本「そこは来年以降の目標ですね。デザートまで食べましょう」
郡司「ティラミスまでいきたいね。今はまだ半熟卵トッピングとドリンクバーでお願いします」
固い絆で結ばれた2人
ーあらためてすし屋での祝福に込めた思いは
山本「一緒にドラゴンズからファイターズに来て、同じようなスタートを切った人がオールスターに選ばれて、シンプルにうれしかったです。前のチームから一緒にいて、ほかのチームメートと少し違う思いを抱いているので、祝ってもいいですか?とお願いしました」
郡司「僕はファイターズに同期入団がいない。唯一の同期といえる存在。ありがたいですよね。今後もそうやってお互いに、お祝い尽くしでいきたい。これはお祝いの第一歩目。次はやまーんが、お祝いされる何かを成し遂げてほしい。僕が祝いたいから。こういう奇麗なコメントも出せるのです(笑)」
《後編に続く》