ファイターズ
《ハム番24時》12月29日
達は新人の頃から周囲と迎合せず、自らの信念に沿って、1人で黙々と野球に向き合っている印象があった。ただ、今季は大卒で入団してきた細野と一緒に行動し、楽しそうに会話する場面が何度もあった。心を許しているようにも見えた。
冗談を言い合うような気安さはあったが、達が細野を慕っているのだろうと推察。2人の関係性に興味を持ち、今回の対談を申し込んだ。いざ、取材が始まると、あっけなく予想は裏切られた。後輩の達が主導権を握り、無遠慮にグイグイと攻める。先輩の細野は終始タジタジで、防戦一方だった。
聞いていた記者は思わず、どちらが年上か分からない―と、こぼしてしまった。言葉遣いやしぐさを含め、昔ながらの友人や兄弟のような掛け合いが続いた。
用意していた質問が終わり、この対談の依頼が来た時、率直にどう思ったか―と問いかけた。達は「別になんとも思わなかったですよ」と涼しい顔。細野は数秒の沈黙の後に「本当に嫌でした。こうなることが分かっていたので」と消え入りそうな声でつぶやいた。
近い将来のエースになる資質を持った2人。性格や立ち居振る舞いは全く異なるが、互いの感性を認め、ひかれ合っているのだと感じた。果たして、この不思議なパワーバランスは今後、変化するのか、しないのか。新たな興味が湧いた。