【年末特別企画】達孝太&細野晴希 近未来のエース対談~前編 〝世界基準〟で急接近 2人が描く5年後はー
投手王国形成の鍵を握る若き両腕
道新スポーツデジタルでは28日から年末年始特別企画を展開する。第1弾は達孝太投手(20)と細野晴希投手(22)による「近未来のエース対談」だ。ともにドラフト1位で入団した本格派で、ストイックな姿勢も共通している。引きつけられるように距離を縮めた2人の意外な関係性や、こだわりの詰まった野球観が浮き彫りになった。
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ストイックな3年目右腕が認めた高い志
―鎌ケ谷で練習していても、2人はとても仲が良さそう。親しくなったきっかけは
達「きっかけ…何だろう?」
―達投手はあまり、ほかの選手と一緒に行動しない。黙々と1人で取り組むタイプかと
細野(以下細)「(達は)人間関係が終わっているので(笑)」
―一緒に練習する中で距離が縮まったのか
達「自分の第一印象は、よく似たところを目指していると。そこまで志の高い人とあまり出会ったことがなかったので、いいんじゃないかなと思って関わり始めて。ただ、そこを目指しているのに、意識がめちゃくちゃ低かった。本当に。そこで一回、落胆したんですけど。そこから彼が頑張って応えてくれているので、関係は続いているという感じです(笑)」
―どちらが年上か、分からなくなってきました
細「審査されていますね(笑)」
ともに目指す場所は「世界」
―細野投手から見て、達投手の第一印象は
細「僕が覚えているのは、沖縄キャンプのウエート場で話したこと。トレーニングをやっていて、これ、どういう意味があるの? と聞いたら、なんか変なことを言ってきて。分かんねーと思って。こんなに考えている人がいたんだと思って、そこからですね。関わろうと思ったのは」
―野球の面では、細野投手から達投手に聞くことが多いのか
細「聞いたりしているんですけど、あまり分からないですね(笑)。なんか変な言葉ばかり出てくるので。でも、ちょっとずつ分かるようになってきました」
―目指しているところが似ていると。具体的に言うと
達「日本だけでなく、世界で戦えるような選手になりたいと思っているので、そういうところですね。口だけではナンボでも言えますけど、そこに向かって本気でアプローチしている人はなかなかいないと思うので」
収穫が多かったプロ1年目シーズン
―2024年の振り返りを。細野投手は6月18日に甲子園で行われた阪神戦でデビュー。7月3日のロッテ戦では、エスコンのマウンドにも上がった
細「けがはしてしまったんですけど、けがをした期間でも収穫はありましたし、投げている期間もいろいろ収穫があったので、そんなに悪くなかったと思います」
―達投手は細野投手の1軍登板を見ていたか
達「見ていました。そんなハッキリ覚えてはいないですけど(笑)。まあ、内容的にも良かったんじゃないですか。(勝ち星を得られなかった点は)持っていないな、というだけで。そこはコントロールできないので。(勝敗に)左右される必要はないんじゃないかなと思います」
記念すべきプロ初勝利 左腕は「打たれろ」!?
―達投手は10月3日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げた。3年目のシーズンを振り返って
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達「すごい成長できた1年だったなと思いますし、何より長いイニングを投げられるようになったというのは、先発としていいことだと思うので。最後に、たかが1勝ですけど、一つスタートを切れたのは、良かったなとは思います」
―細野投手は、達投手の初勝利の試合はチェックしていたか
細「はい。ずっとキャッチボールをしていて、球がいいのは知っているので。それを今季初の1軍の先発の試合で出せるのは、さすがだな、というふうに思っていました。でもちょっと…打たれろ、と思って見ていたんですけど(笑)」
―なぜ、打たれろと
細「イジれるじゃないですか(笑)。でも、ちゃんと抑えていたので、すごいなと思って見ていました。祝福の気持ちはもちろんありました。普段から取り組みを見ていて、こういう人がちゃんと結果を出すというのは、うれしかったですね」
仲間でもありライバルでもあり
―互いにライバル心があるのか、仲間意識が強いのか
細「仲間という感じはあまりしないですね。ライバル…どちらかと言えば、そっちの方が近いかもしれないです」
達「そうなんや」
細「違う?」
―先発ローテの枠が限られている中で、競い合うからか
細「(達が)1勝した時にそう思いましたね。負けていられないなと」
達→細野 プロゲーマー!?
―達投手は、細野投手のことをどう見ているか
達「プロゲーマーとして見ています(笑)。いや、今まで(チームメートを)ライバルとか思ったことがないんですよね。誰かに負けたくないとか、そういう気持ちが全くなくて。周りと比べたら、例えば、同級生の大学でやっている選手と比べたら、少しは高いところにいるかもしれないですけど、上には上がいるわけで。その上を見ないと何も始まらないわけで。世界で一番いいピッチャーは、今年で言えば、サイヤング賞を取ったクリス・セール。そこを見て進んでいくしかないと思うので。隣を見ているようでは、もっともっと上には行けないなと思うので」
細「僕のことは眼中にないと(苦笑)」
掲げた目標は互いに15勝
―11月末の契約更改で掲げた目標が2人とも同じ15勝だった。お互いにどう思ったか
達「(細野投手は)もっとできるでしょ。158キロを投げる。左投手だと、日本トップレベルじゃないですか」
細「そう言われているんですよ、いつも」
達「普通に考えてみてもらっていいですか。一つ疑問なんですけど、マックス158キロを投げる人が、アベレージ148キロとか。どう思います? 10キロ下がるんですよ。自分は思いきり投げても155キロぐらいしか出なくて、アベレージが147、48キロ。まあ、妥当なラインだと思うんですけど。なんか、ゆるーく投げているんじゃないかなと思います」
細「まあ…そうですね。なにか変な癖が付いてしまったかもしれませんね。(大学時代は)いかにリーグ戦の次の日に体力を残せるか、という考えでずっとやってきたので」
達「まあ、言い訳ですね、これは(笑)」
楽しみな5年後 ともに高い目標を設定
―左右のエース候補として、球団やファンから期待されています。来年の自分、5年後の自分。描く未来像は
細「来年は新人王を取りたいですね。5年後は、日本でやることがないくらい圧倒していたいです。日本の投手といえば、細野だろと名前が挙がるくらい、15勝を何年も続けられるような投手になっていたいです」
達「来年は目標にもあるように15勝してシーズンを終えたいです。そこにはいろいろ付いてくるものもあると思います。5年後…日本ではK/BB(奪三振数÷与四球数で求められる。投手の能力に関わる指標)30ぐらいを記録し、次のステージを目指せるようなピッチャーになっていると思います」
《後編に続く》