【新春年男インタビュー前編】3度の降格知る宮澤裕樹がJ1復帰誓う「タフに戦わないと勝ち抜けない」
巳年のバンディエラが自らの思い語る
道新スポーツデジタルでは新春企画として、2025年に年男を迎える北海道コンサドーレ札幌MF宮澤裕樹(35)のインタビューを前後編でお届けする。前編は、1年でのJ1復帰を目指して戦う今季に懸ける意気込みや、昨季限りで退任したミハイロ・ペトロヴィッチ監督(67)と過ごした7年間を中心に語ってもらった。
計7シーズン戦ってきたJ2リーグ
「簡単なリーグではないことはもちろん分かっているし、タフなリーグなのは間違いない」。チーム、そして自身にとって、16年シーズン以来9年ぶりとなるJ2リーグ。この舞台では過去に計7シーズン、通算249試合を戦ってきた宮澤だけに、「戦術的にもそうだけど、環境を含めて一人一人がタフに戦わないと勝ち抜けない」と、決してひと筋縄ではいかないリーグであることは重々承知している。
24年の札幌はJ1で20チーム中19位に沈んでJ2降格という無念を味わった。「自分たちは力不足だった。終盤はチームとして盛り返したけど、この試合に勝てば自力で(残留)に持っていける試合で結果を出せなかったところにこのチームのもろさがあった」と振り返る。
J2では身体面、精神面の双方でタフさが要求される。露呈したもろさを克服し、長丁場の戦いを勝ち抜く強さを身につけなければ、1年でのJ1復帰にはつながらないはずだ。
大事な時期に指導を受けたミシャ 「なかなか成長曲線が見えなかった」
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長きに渡って札幌の指揮を執ってきたペトロヴィッチ監督が昨季限りで退任した。ミシャと歩んだ7年間を「僕のサッカー人生で一番良い時期を監督と過ごせた」と話す。「27、8歳から35歳までというのは、選手にとって非常に重要な時期。それまでもチームの中心になってやってきていたけど、これからどう成長していくのかと問われれば、なかなか成長曲線が見えなかった時期だった。そういう中で監督と出会えて、新しいサッカーに出会えて、自分自身としてもサッカーがうまくなったと思うし、サッカー選手としての幅も広がった」と感謝する。
就任前のJ1では守備的に戦ってきた
ミシャが監督に就任するまで、札幌のJ1での戦いは苦戦の連続だった。宮澤のルーキーイヤーだった08年と12年は共に最下位となり、1年でJ2に逆戻り。宮澤にとって初めてのJ1残留達成となった17年も守備的な戦術を採用していただけに「今まではJ1で戦う上で、しっかり守りを堅めて少ないチャンスをものにするという、どちらかというと守備的なマインドだった」と、今とは真逆のスタイルだった。
攻撃的なマインドでJ1でも存在感
そんな札幌に、まさに〝革命〟をもたらしたのがミシャだった。「それまでチームも苦労していたし、なかなか(J1に)残ることができなかった中で監督と出会えて、攻撃的なマインドになることができた。やっぱりみんな攻撃が好きなので。攻めること、点を取ること、それが好きでサッカーを始めた人も多いので、改めて攻撃していくことの楽しさ、サッカーの楽しさを改めて思い起こさせてくれた」。本当の楽しさを思い出したチームは7年連続の残留を果たしてJ1に定着し、攻撃的なクラブとしてリーグの中で一目置かれるようになった。
二つの心残り
恩師と過ごした時間の中で、宮澤には二つの心残りがある。あと一歩のところでタイトルに手が届かなかったこと、そしてラストイヤーがJ2降格という結果に終わってしまったことだ。
「このチームを何とか勝たせたいという思いで常にやっていた。ルヴァン杯でいいところまで行けたり、リーグで上位で戦うこともあったけど、最後のところで結果が出なかった。非常に良い時間を過ごせたし、感謝しかないけど、その中でこういう形で終わってしまうことをすごく寂しく感じています」
18年にクラブ最高位の4位、19年のルヴァン杯準優勝は通過点のはずだった。24年も勝負所の試合さえ落とさなければ残留できるはずだった。
成長していくための行く先が見えづらくなっていたときに進むべき道に光を当ててくれたミシャ。その恩に応えるためにも、今季から指揮を執る岩政大樹新監督(42)の下で1年でのJ1復帰、そして、あの時に届かなかったタイトル獲得を目指していく。
7日から沖縄キャンプが始まる
新たな戦いは今月7日から始まる沖縄キャンプでスタートを切る。「1年でJ1に戻って来るために、自分はベストを尽くしたい。ここ1、2年はサブで出る機会が多かった。新しい監督が来るということで、みんな横一線でのスタートになるので、もう一度スタメンでピッチに立てるように競争したいし、コンディションを整えてまたチャレンジしていきたい」。
プロ18年目、36歳となる今季も背番号10はクラブの象徴として戦い続けていく。