【新春特別対談】山崎福也&鶴岡慎也~前編 22年前に始まった縁 移籍1年目の投球を深掘り
旧知の間柄の2人によるスペシャル対談が実現!
日本ハムの年末年始特別企画ラストは山崎福也投手(32)と道新スポーツデジタル評論家の鶴岡慎也さん(43)による対談をお届けする。22年前に出会い、ファイターズを介して再接近した2人がバッテリーの視点で投球を掘り下げ、25年シーズンを展望。経験者だからこそ分かるFA移籍の苦労話や、ダルビッシュ有投手(38、米大リーグ・パドレス)にまつわる秘話も飛び出した。
今でも記憶に残っている出会い
鶴岡さん(以下鶴)「福也、ちょっと胸板厚くなった?」
山崎(以下山)「今、(ウエートトレーニングを)やっています」
鶴「そうだよね。えぐっ。結構やっているよね。俺も最近、始めたんだ。ゴールドジムと契約してきた。雑談はそのくらいにして(笑)。出会った時のことは覚えている? お父さん(山崎章弘氏)が、僕が入団時のバッテリーコーチを務めていたということで。立派な息子が2人いるとは聞いていた。たまに鎌ケ谷に来て、楽しそうに話していたよね」
山「小学校4年生ぐらいですかね」
鶴「僕は2002年ドラフト、2003年入団だから、そっか10歳ぐらいか。懐かしい。当時からスラッとしていたイメージがあって」
山「鶴岡さんはすごい頑張っているイメージがありました。室内でマシンの球を受けている姿がすごい記憶に残っていまして。ちょこちょこアンダーシャツとか、もらっていました(笑)」
プロ10年目の転機 新天地で迎えた2024年シーズン
鶴「山さんが、くれくれと言って段ボールで集めていた記憶がありますけど(笑)。まさかこんなに立派になるとは思わなかったですし。日大三高に行ったとか、話は聞いていた。立派になってうれしい。そしてファイターズに来るとはね。実際、今年の1年間はどうでしたか」
山「良かったです。最初はちょっと、わけも分からず、周りが見えていなかったんですけど、夏ぐらいから慣れてきて、周りが見え始めて、自分のペースで過ごせるようになって。過ごしやすいな、という感じはありますね」
鶴「オリックスもいいチームでしたけど、ファイターズに来て年齢も上の方じゃないですか。1軍のメンバーを見ていても。その中で自分が手本にならないといけないな、と思ったんじゃないかな?」
山「そうですね。失敗できないなと。いろんな意味で。お手本にならないといけないな、という気持ちはありましたね」
指摘を受けた後半の疲れ 山崎「安定した成績を残したい」
鶴「今年、残した数字はどうだった? 振り返ってみて」
山「後半、打たれまくったので、そこは本当に悔しい。5月ぐらいまでは、いいペースで勝ち星を挙げられたんですけど、やっぱり1年通してちゃんと安定した成績を残したいなと思いました」
鶴「僕は解説者で見ていて、福也、ちょっとバテてきたか、と分かりましたけど、そんな感覚があったか」
山「自分自身では分からなくて。今、思い出してみたら、ちょっと疲れていたのかな、というのはありますね」
目を見張った内角突き ギータを見逃し三振
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鶴「春先、福也が引っ張っていって、その後は(伊藤)大海が引っ張っていって。先発陣がしっかりしていたから、あれだけダッシュできたと思うんですよ。特に印象的だったのは、左バッターのインコース、めちゃくちゃコントロールがいいよね」
山「そっちの方が自信がありますね。左バッターのインロー、右バッターのアウトローですね」
鶴「そうそう。見ていて、左バッターを抑える左ピッチャーは、絶対にインコースを突ける。一番、印象的だったのはギータ(ソフトバンク・柳田)を見逃し三振に取ったボールは素晴らしかったと思う。強打者であればあるほど、(インコースに)投げていかないといけない」
山「ボールでもいいやと思って。インコースに外れてもいいやと思って投げているので。そこで決まったり、決まらなかったり。なるべく(ストライクゾーンに)入らないように。真ん中付近に集まらないようにしている感覚ですね」
やはり自信を持っている魔球
鶴「福也のピッチングを見ていて、もちろん真っすぐが軸だけど、変化球で一番、自信を持っているボールは」
山「チェンジアップですかね」
鶴「魔球ね」
山「困ったら投げているところはありますね」
圧巻だったCSでのリリーフ登板
鶴「CS(ファーストステージ第2戦)で中継ぎ登板があった。もう絶対に間違えられないじゃないですか。高さとか。本当に指先まで神経を通わせて投げているイメージがあったんだけど。1年間の中であの試合が一番、丁寧に投げていた?」
山「1点もあげられなかったので。長打のあるバッターはフォアボールでもいいやと思って投げていました。なるべく単打、単打。最悪、それならいいやと思っていました。丁寧に、という意識はありましたね」
鶴「新境地が見えたんじゃないかな」
山「僕自身もすごくいい経験になりましたし、ある意味、ああいう意識、気持ちの持っていき方を先発でもできたらいいなと」
経験者だからこそ分かる10勝の価値 「尊敬している」
鶴「野球界の先輩、FAを経験した先輩、複数年契約をした先輩として見ると、納得はしていないと思うけど、移籍1年目で立派な成績を残したと思う。尊敬している。僕は移籍1年目で成績を出せなかったから」
山「でも…。環境のおかげだと思います。周りの方々にいい雰囲気でやらせてもらったので。そこが一番大きかったですね」
あらためて新庄監督に感銘
鶴「新庄監督はどうでしたか」
山「小さい頃から見ていた方でもありますし、23年まで敵チームの監督だったので、最初はいい意味で違和感があったんですけど、一緒にやっていくほどにすごい人だなと思いました」
伊藤の最多勝から刺激 タイトル奪取に意欲
鶴「10勝6敗。4つの貯金をつくった。25年シーズンは柱になってもらいたい。開幕投手は金村と発表されて、本拠地開幕は大海。正直、ホッとした部分もあったんじゃないかな」
山「いや、逆にどこで投げるのかなと。どこかしらでは投げると思うので、しっかり準備します」
鶴「僕のイメージですけど、2戦目とかで投げたら、1カ月くらい、勝ち星を拾いやすくなると思う。タイトルは意識するか」
山「やっぱり取りたいですね。最多勝、今年は大海がすごかったですけど。負けていられないですし。僕ももっと何かしらのタイトルは欲しいと思っています」
目指すはストレートの球速アップ
鶴「体つきも変わっている。また一歩、上を目指しているんだろうと。細かいスタッツが出たと思うが、伸ばしていきたいところは」
山「真っすぐの平均球速ですね。そこを上げれば、もっと球が生きるのかなと思います」
鶴「その胸板がそれを物語っていますね(笑)」
山「あまり言わないでください(笑)。あまり投げることに関してはいらないですけど」
《後編【念願かなったダルビッシュとの初対面 優しい言葉に感激】に続く》