ファイターズ
《ハム番24時》1月4日
2008年3月20日。札幌ドームで行われた17年前の開幕戦。小児脳腫瘍の手術を翌日に控えた中学3年生の山崎がスタンドで観戦し、スタメンマスクの鶴岡さんはダルビッシュの球を受けていた。結果は圧巻の完封勝ち。「勇気をもらった」と感謝する少年と、期せずして勇気を届けたプロ野球選手。運命が交差する瞬間があった。
当事者の視点でこの時の感情を振り返ってもらいたかった。それは対談の目的の一つだった。特に、2人の野球人生に大きな影響を与えたダルビッシュの話題は盛り上がり、ともに声が弾んでいた。
生存率10%とも言われた手術が成功して良かった、と心底思う。対談に同席した記者も子を持つ親。死に直面する15歳の気持ち、家族の気持ちを考えると、胸が締め付けられそうになる。
対談の合間に「手術が怖くなかったですか、不安ではなかったですか?」とあらためて尋ねた。山崎は「症状が全くなかったんですよ。なんなら普通にジムとか行ったりしてもオーケーだったので。ただ、頭に(腫瘍が)ある、というだけ。大丈夫でした。不安は…僕にはある程度しか話されていなかったので。ただ、事の重大さは分かっていましたよ」と穏やかな口調で教えてくれた。投球にも表れている心の強さを、垣間見た。