札幌大谷が史上3番目に多い14人ずつのPK戦を制し9年ぶり1回戦突破【全国高校サッカー選手権】
全国高校サッカー選手権 第2日(12月29日、千葉県立柏の葉公園総合競技場ほか)
▽1回戦 札幌大谷1-1(PK12-11)寒川(香川)
4年ぶり4度目の出場となった札幌大谷が、大会史上3番目に多い14人ずつのPK戦を制して9年ぶりの1勝を挙げた。先攻の札幌大谷は11-11で迎えた14人目のキッカーが成功すると、GK高路地琉葦(3年)が相手に揺さぶりをかけてキック失敗を誘発させた。31日の2回戦では、初の3回戦進出と年越しの試合を懸け、今季のプレミアリーグ王者・大津(熊本)と対戦する。
守護神・高路地は公式戦PK4戦4勝
寒川の14人目キッカー・広畑のシュートが左ポストを直撃して枠外へ飛んでいくと、寒風を吹き飛ばす歓喜がピッチに広がった。公式戦のPK戦では4戦4勝と不敗神話を継続させた守護神・高路地は「素直に嬉しいです。インターハイの時とはまた違う雰囲気で、体が震え上がるのを感じました。最後の選手権っていうのがあって、ちょっと自分でも独特の雰囲気を感じてしまって、いつも通りのパフォーマンスが出せなかった。本当はもっと早く決めたかった。寒川のキッカーもみんなうまかったので、最後ちょっと左右に揺さぶって、結果的に勝利することができた。今日は反省して、切り替えて大津戦に臨める」と、大みそかの大一番を見据えた。
DF大石は70秒蹴らずに〝魔の間〟 指揮官「あれは彼自身のルーティン」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
〝静寂の70秒〟だった。PK戦は5人目まで互いに成功。サドンデスに突入した6人目。先攻の札幌大谷キッカーは、11月のU-16日本代表候補合宿に召集された左CB大石蓮斗(2年)。ボールをスポットに置き、レフェリーが笛を吹いても、一向に蹴る気配はない。スタンドの観衆がピッチ上の大石に注目する中、約70秒後、ようやく動きだし、キックも成功させた。
清水隆行監督(49)は「あれは彼自身のルーティンなんですけど、いつもより長かったです。いつも30秒なんですけど、多分50秒ぐらい置いたんじゃないですかね。ああいうふうに時間を置くのは僕らも経験してるんで。だからどのタイミングで蹴るのかなと思って見てましたけど、なかなか蹴らなかったんで、相手のキーパーを見てたらちょっとジレてるなと」。作戦は成功。創意工夫で勝利への執念をにじませた。
次の王者・大津戦はクリーンシートで
これでインターハイの富山第一戦に続いて、夏冬連続でPK戦の末に全国1勝。2回戦の大津に勝てば、今大会最大のジャイアントキリングになるのは確実だ。守護神は「プレミアも制覇して間違いなく今、日本で一番強い。その相手に対してしっかり自分たちがやってきたことを出して勝って、次に進めるように頑張りたい。シュートセーブが自分のストロングポイントとしてやっている。相手にはプレミア得点王の山下選手もいるので、ピンチの場面が増えるとは思いますけど、そこでしっかりと自分が止めて、チームを勝利に導けるように頑張りたい。次はクリーンシートで」。最後方からチームを鼓舞し、ゴールマウスを死守する。