札幌大谷 プレミア王者の大津に敗戦も2年中村が全国初ゴールで一矢【全国高校サッカー選手権】
全国高校サッカー選手権 第4日(12月31日、千葉県立柏の葉公園総合競技場ほか)
▽2回戦 札幌大谷1-2大津(熊本)
優勝候補筆頭のプレミア王者を相手に善戦
9年ぶりに初戦を突破した札幌大谷は、初の1大会2勝を懸けて今年のプレミアリーグ王者の大津に挑んだが、1-2で惜しくも敗れた。0-0で迎えた後半11分、右コーナーキックから先制を許すと、同20分にも右サイドから崩され、0-2。試合終了間際には、途中出場のMF中村哲爾(2年)が縦パスに抜けだし、そのままドリブルで切れ込みゴールを決めて一矢報いた。J2に昇格するFC今治入りが決まっているMF笹修大主将(3年)ら先輩が残した財産を、下級生が来年のリベンジにつなげる。
持ち前のスピードで意地のゴール
大津の堅守を1人で破った。ハーフライン付近から、約40メートルの独走で、中村が全国初ゴールを決めた。
「自分が出る前も最初と比べたらいい流れになってきて、監督には『裏を自分で狙え』って言われてて、それで自分で抜け出してゴールを決められて良かった。自分のストロング(ポイント)のスピードを生かして裏に抜けるっていうのをいつもやっていて、それがうまくハマった」。ゴールネットを揺らすと、右腕を高々と空へと突きだした。
頼れるキャプテンが猛ゲキ
攻撃的なパスサッカーを最後まで貫いた。序盤に何度かチャンスがあったが、徐々に防戦一方となり、前半は0-0。ロッカールームでは、絶対的な精神的支柱の笹主将がチームを鼓舞した。インターハイ2回戦の市立船橋(千葉)戦で前半1-0から後半に4失点した教訓を引き合いに「市船戦を思い出せ」とゲキを飛ばした。
仲間をもり立てたスーパーセーブ
後半11分、同20分と失点し、一気に崩れそうになったが、同36点に与えたPKをGK高路地琉葦(3年)が右手一本でスーパーセーブ。士気は上がった。
貫いた攻めの姿勢
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清水隆行監督(49)は後半3枚の交代カードを切ったが、全て攻撃的選手。同33分に3人目の交代選手としてMF中村が右WBに入ると、183センチの笹主将をボランチから前線へ上げ、なんとしても得点を奪うというベンチの意思をピッチに届けた。
「セットプレーからの失点だとか、僕は0点には抑えられないと思ってた。あのへんもある意味、想定内。それでも選手が下を向くことなくやったのが、高路地のPKストップにもつながったし、得点にもつながったかな。もう少し早く得点できていれば、違った展開もあったかもしれないですけど、そこも含めて力かな」。王者相手に最少得点差。全国に札幌大谷の存在感を示したゲームだった。
FC今治の練習に初日から合流する笹主将
笹主将は来年1月6日、今治の練習に合流。初日から参加する予定だ。
「3年間、今思うと、もうちょっとやれる部分はあった。ここが終わった段階から次のステージが本当に始まるんで。まだまだ成長しないと。1年目から試合に出るなんて簡単に言ってましたけど、全然、簡単じゃないなって本当にきょう、あらためて思いました」。仲間との思い出を胸に、次のステージへ向かう。
堂々の戦いぶり 中村「来年、ここに帰ってくる」
この試合、スタメンには2年生が3人。交代で出た3人のうち、中村ら2人が2年生だった。この経験は無駄にしない。
中村は「(笹から)来年は絶対この舞台で勝てるように、この経験を生かして頑張ってください、って言葉をもらいました。自分たちも全国まで連れてってもらって、いい経験をさせてもらった。来年、ここに帰ってきて、絶対に勝って歴史も変えたいし、優勝をしっかり取りにいきたい」。目標としていたベスト8には届かなかったが、優勝候補を相手に真っ向勝負で堂々と戦った。この経験を糧に、再び国立競技場を目指す。