【一問一答】福谷浩司 驚いたファイターズからのオファー 背番号は即決で41
中日からFA権を行使して日本ハムに移籍した福谷浩司投手(33)の入団会見が6日、エスコンフィールド北海道で行われた。ファイターズ入りの決め手となった対話や、背番号41を選択した理由などを明かした。契約は2年総額9000万円プラス出来高払い(金額は推定)。会見の一問一答と栗山英樹CBO(63)のコメントは以下の通り。
―ファイターズ入団が決まった。今の気持ちは
「ドラゴンズに入団したのが12年前でしたけど、その時とはまた違った緊張感で。すがすがしいですけど、どこか不安で、懐かしい気持ちもあります」
―複数球団からオファーがあった中でファイターズを選んだ理由は
「一番の理由は、理解できなかったというところです。最初にオファーをいただいた時も『どうして?』と自分自身、正直、思ってしまったところがありました。その後、交渉する中でもいろんな熱い思いを受けたのですが、まだまだ分からない。それは将来的に自分がどうなるんだろうということも含めて。それを一緒に考えてくださる、一緒につくってくださる。そこが怖さでもあり、楽しみでもある。その思いが一番、強かったので、ファイターズに入団することにしました」
―理解できなかったから決めたと。その点をもう少し詳しく
「自分で理解できることって、自分の世界の中でしかない。周りの人に評価してもらったり、自分のことをあらためて『君はこういう選手だ』と言っていただくことで、そういう見方なのかと。今まで言われたことがないようなことも含めて、言っていただいた。それがうれしかったのもあるし、それを目指すことでどういう世界が見えるんだろうと思って。分からないが、すごいうれしかった」
―誰かのアドバイスを受けたか
「近年、ドラゴンズに在籍しながら、オフは海外に行ったり、トレーニングしたり、プレーしたりということで。何かしら自分のチャレンジになることをやりながら、いろんな方と交流してきて。今回はチームを移籍することでより大きなチャレンジとして捉えています。選手はもちろん、監督、スタッフの方、球団、企業の方も含め、いろんな方と交流させていただいて、自分がまた成長できたらなと思います」
―郡司らドラゴンズから移籍してきた選手がいる。何か助言はあったか
「アドバイスは、ほぼなかったですね。『一緒にできるのを楽しみにしています』と山本(拓)も郡司も言ってくれていますし。ただ、そこからまだ会えていないので、会うのが楽しみです」
―先発、中継ぎなどの希望は
「全くございません。求めていただくということが、本当にうれしいなと思います。そこで、死ぬ気で腕を振る。死ぬ気で頭を使って考える。そういったスタイルでやっていきたいと思います」
―郡司が専属捕手に立候補すると
「彼と組んだ試合は今でも覚えていますし。そこはアリエル(マルティネス)も一緒でお世話になっていますけど。いろんな方、(伏見)寅威を含めて、みんなと組んでみたいし、皆さん、素晴らしいキャッチャーなので、全員、楽しみです」
―ファンに見てもらいところは
「いまだに自分のセールスポイントが何か分からないですけど、自分らしくやって、評価していただいて。そこは自分に自信を持って自分らしく突き詰めるところは突き詰めて、元気よくプレーしたいと思うので。そういうところをまず見て、名前を覚えていただけたらうれしいです」
―ファンへメッセージを
「少しでも早く名前と顔を覚えてもらうことが大事だと思います。人間味も含めて覚えていただいて、一緒に応援するというか、一緒に戦いたいという方を増やしたい。頑張っていきますので、よろしくお願いします」
―移籍交渉で、言われたことがないことを言われたと。どんなことを言われたか
「事前交渉の場で福谷はこんなものじゃないという話をしていただいた。そこで示されたデータがあり、こういうことをやったらどうだと。アクションプランの一つでしたけど、それも自分の中にはうっすらあったんですけど、できなかった部分。それを全力で応援してくださる、というのが大きくて」
―ファイターズならできるのではないか、という想像が膨らんだのか
「そうですね。それができない理由として、過去の成功失敗の経験が時にはいい気持ちになったり、足かせになることもあったりして。それをどうやって生かして、自分をより良くしていくために、と考えた時に、具体的には申し上げられないんですけど、とても魅力的に感じました」
―エスコンの大型ビジョンに歓迎メッセージが映し出された
「ビジョンもそう、音楽もそうですし、すごくうれしい。すっきりしました」
―移籍は悩んだか
「すごく悩みました。本当に。自分だけのことではなく、家族のこと、チームメートや周りのお世話になった人も含めて、悩んで出した決断なので。これが良かったと言えるか、まだ分からないですけど、必ずそうなると信じています。これからお世話になる人も増える。そういった人たちにまた(恩を)返せるように毎日、必死に過ごしたいと思います」
―ファイターズからのオファーは驚きが大きかったか
「僕個人としては大きかったですね」
―その理由は
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「昨年、FA権は取得しましたが、1軍にはほぼ1カ月くらいしかいなかったですし、登板も先発は4試合しかしていない。そもそもオファーをいただけたことにまずびっくりしましたし、その中でもファイターズさんは昨年の戦いをパ・リーグながら見ていましたけど、そこに自分が入るというイメージは全くできなかったので、びっくりしました」
―ドラゴンズ時代、ファイターズの印象は
「新庄さんが監督になられた時、そのタイミングでドラゴンズも立浪さんが監督になった。いろいろ比べられてというか…まずそこで知った。あとは山本(拓)、郡司、アリエルが行ってからの報道だったり、彼らの言葉を聞いていた。メディアで出ているようなイメージ、そのまま。楽しそうにやっているとか、元気あるチームだとか、若手が伸びているとか。そういうイメージがあるからこそ(オファーは)なんで?という。自分の年齢も含めて」
―自身の伸びしろとして、どこに期待しているか
「1個に絞れと言われたら、メンタルというか感情、情の部分。過去の成功、失敗が自分の中で足かせになっている部分が若干ある感じがしていて、それをどうやって壊していく、そして新しい自分をつくっていくというのが、できた時に一つ先に行けるんじゃないかというのもあって。トレーニングを一生懸命、頑張ったけど、そんなに変わらなかった時もありましたし、技術面をやろうとしても、なかなかそれを邪魔する部分は結局、頭の中だったので」
―移籍交渉中、日本ハムから伝えられたことは多岐にわたるのか
「ほかのチームなのでデータはトラックマンしかないですけど、映像を見て2022年はこう、23年はこうだったよね、24年はこんな感じだったよね―と。それを踏まえて、もっとこうしたら良くなるんじゃないかと。こういうところをなぜ変えたのか、という話もされました。そういった話の中でまずは、良く見ていただいているのが素直にうれしかったです」
―過去の自分を壊して、新しいことに挑戦する上で環境的にこのチームが良かったのか
「過去の自分をあらためて、と思い始めたのが何年か前からで。ルーキー時代や若い頃にほかのチームに移籍するなんてことは全く想像できなかった。頭の中の変化もありますし、家族や環境の変化もありますし、そういった中でもう一個、自分を高めようというか、人生の幅や深みを出すために今、外に出て。出たからこそ分かるドラゴンズの良さもあると思う。それは出てみないと分からないとも思いましたし、いろいろな思いがあっての決断でしたね」
―背番号の41はいくつか提示された中で選んだのか
「そうですね。もう即決でした」
―それはなぜか
「ファイターズの中では稲葉さんがいらして、同郷ですし。ただ僕が真っ先に出てきたのは浅尾拓也(現中日投手コーチ)。同郷で、ドラゴンズでもルーキーの頃からお世話になり、移籍するという電話も初めの方にさせていただいた。すごく応援してくださった。チームは変わりますけど、その番号を背負って、浅尾さんみたいな投手に少しでも近づけるようにと今でも思っているので。即決でした」
―キャンプ中、キャッチャー陣みんなに受けてもらいたいか
「おそらくブルペンとかで受けてくださると思うんですけど、個人的にはブルペンよりもゲームで初めて本音を含めて分かるところがある。ドラゴンズも年々、若い捕手が増えてきていて、この捕手はこういうことを考えている、こういう性格の子なんだなというのも投げながら分かるようになってきているので。やっぱり、野球で試合でプレーするのが一番のコミュニケーションだなと、昨年、プエルトリコに行って感じたことでもあるので。そういったコミュニケーションを楽しみにしています」
―捕手に求めるものは
「どの捕手も僕を良くしようというのは伝わってくるので、そこに優劣はない。結果的に相性は出ちゃいますが、僕は全く気にしない。どの捕手も好きですし、捕手らしさを出してもらえるのが絶対かなと思います」
―捕手の個性を重視すると
「そうですね。そこが面白いです」
■栗山CBO
―(自ら口を開き)
「今年、ファイターズにとって優勝に向かう大事な年。最低限の勝てる形をつくるのが、われわれの仕事ですけど、どうしても(福谷が)必要だった。先発、短いイニングもロングも行ってくれる。これから使っていくところは考えますけど、優勝するためにどうしても必要なピースだったので。福谷投手のことは中日時代から、僕の監督時代も見てきましたので。細かいことは別にして本当に一緒にやりたい。そういったピッチャーに来てもらった」
―福谷投手の会見の受け答えを聞いて
「そこまでものを考えて野球をやってきてくれた選手だからこそ、年齢も関係なく、進化を続けられる。そこをわれわれは信じて、チーム全体でとにかく来てほしいと伝えたつもりなので。やっぱり間違っていなかった、いいなという感じですね」
―本人は理解できなかったことで、移籍を決めたと
「それはすごくうれしいですね。要するに、本人が感じている福谷像ではない、ピッチャー像をわれわれが持って、いろんな分析を含めてチームとして提示させていただいた。そこがもし引っかかってくれたのであれば、すごくいいことだし、ファイターズのチーム力になっていくので。われわれが進めようとしたことは大きく間違っていないなと」
―起用の青写真は
「監督が今年、必要としている部分は、われわれに伝わっている。もちろん、壮大な戦力が揃えば、それはそれで構わないんですけど、監督がやりたい野球の中でどうしても必要な部分だった。そこは本人にも、開幕前にお願いが出るかもしれないけど、と言った。ただ、それよりも、福谷というピッチャーのすごさを、何でもいいから出してくれる形をわれわれが応援してあげられれば、必ずチームは勝ち出す。そこに期待がある。そこはしっかり話をしながら前に進めます」