クラブの未来を思う熱意が伝わってきた《河合CRC竜の眼》
岩政監督は秀でた観察眼の持ち主
1月6日の全体トレーニング(プレド)を皮切りに、新たなシーズンがスタートした。岩政監督は手始めに、たっぷり時間を掛けてミーティングを実施。練習中はチームの全体像を把握しようと、じっくり選手を見つめる姿が印象的だった。
外から眺めていた私にも、クラブの未来を良くしたいという熱意が十分に伝わってきた。監督と会話を交わす時間は決して多くなかったが、「だいたいの人間関係は分かったかな」という言葉に、秀でた観察眼の一端を見た気がする。
MF宮澤に始動日の感想を尋ねると「すごく発言しやすい」という答えが返ってきた。前監督のミシャさんは良くも悪くも、俺に付いてこいというスタイルだった。
選手の声を吸い上げる新監督は、どんな手腕を発揮してくれるだろうか。沖縄キャンプに足を運ぶことはできないが、トレーニング方法や戦術の落とし込み方を間近で見てみたい。一人のサッカーファンとして、そう強く思っている。
1次キャンプでチームの土台を築く 今季はケガをしないこともテーマ
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
シーズンを戦う上で、8日から始まった1次キャンプはチームの土台を築く大切な時間になる。常勝鹿島で長くセンターバックを務めた岩政監督ならば〝勝者のメンタリティー〟を植え付けてくれると、期待せずにはいられない。
ときに、「鹿島は、やっぱり鹿島」というフレーズを耳にする。言葉通り、勝負どころでの鹿島はめっぽう強い。激しい競争を勝ち抜いた11人がピッチに立つ資格を持つ。レギュラー奪取が容易でない環境、怠慢なプレーや少しのミスでポジションを失う危機感を、常勝チームは携えている。
また新体制によるメリットの1つとして、全ての選手にチャンスが生まれる。ある程度メンバーが固定された昨季までとは異なり、横一線の競争が始まる。裏を返せば、オフ期間にどれだけ体をつくってきたかを問われることになる。これまで出番が少なかった選手も若手も、取り組みの成果を存分に発揮してもらいたい。
競争の過熱を期待する一方で、ケガをしないこともキャンプ期間の大事なテーマ。負傷者が多発した昨季の経験を踏まえ、今季からはパフォーマンスコーディネーターとして京谷さんが加わった。心強い戦力の手を借りながら、オンとオフを上手に使い分け、ベストな時間を過ごしてほしい。
開幕時は6割の仕上がりでも及第点
真新しいチームだから、開幕時に100%のパフォーマンスを求めるのは難しい。当然スタートは大事だが、個人的には6割の仕上がりでも十分に及第点と捉えている。新たな指揮官の下で一つずつ課題を見つけ、徐々にチームとして成熟することを願っている。