ファイターズ
《ハム番24時》1月13日
仲のいい兄弟を見ているような感覚だった。伊藤は一緒に自主トレを行うことになった松本遼を大歓迎していた。同期入団だが、年齢は5つ下。練習中も緊張を解きほぐすためか、冗談を交えながら、親身になって助言を送っていた。
時間と労力をかけて身に付けた技術や経験は貴重な財産だ。記者は、伊藤を慕っている松本遼に、いつも包み隠さず、教えてくれるのか―と尋ねた。すると「そうですね、包まないと思います(笑)。優しいので、いっぱい聞いたら教えてくれます」と感謝しきりだった。
驚きなのは、札幌市内の寮からエスコンの送迎や、食事の世話まで伊藤が買って出たこと。面倒見が良すぎる。まだ1軍経験のない若手の松本遼の視点に立つと、至れり尽くせりの環境だ。
移動の車中でも、会話が弾むそうだ。野球以外の話題にも、一流選手になるためのヒントが散らばっている。「見がちなのは野球の部分ですけど、生活面でどういうことをしているのか、積み重ねがどれぐらいあるのか、という点も勉強になる。そこも含めて吸収します」
入団4年で球界を代表する投手の一人になった伊藤を〝密着取材〟できる。未来を変える2週間になるかもしれない―と、ひそかに思った。