ジャンプ女子25年初戦は勢藤優花が7年ぶりV【HBC杯ジャンプ】
■HBC杯ジャンプ(1月13日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
2025年最初の国内ジャンプ大会「HBC杯」が13日、札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われ、女子は今年4月からオカモトグループに所属する上川町出身の勢藤優花(27)が、ただひとり120メートル超えの飛躍を2本そろえ、7年ぶり2度目の優勝を果たした。18、19日の両日に同会場で開催されるW杯へ弾みをつけた。
伊藤との接戦制し表彰台で笑顔
心機一転、勢藤が表彰台の一番高い場所で最高の笑顔を見せた。2位・伊藤とのポイント差はわずか2.1点。飛距離に単純換算すると1.17メートルの接戦を制した。「優勝できたことはすごくうれしいです。あまり勝てたことはないので。2番、3番、4番、5番がすごく多かった。どの試合でも1番になりたいと思っていましたが、やはり(伊藤)有希さんが強かったり、他の選手がすごく強かったりして目標を達成できていなかった。新年最初の試合で優勝できたのは、今週のワールドカップにもつながると思うし、またここで一番高いところに立ちたいという目標を強く意識するいいきっかけになった」。世界トップクラスが集結する地元ジャンプ台で、再びヒロイン候補に名乗りをあげる。
ヘビのように脱皮して「挑戦」
今年の抱負は「挑戦」。勢藤が所属するオカモトグループは、道内を中心に全国でガソリンスタンドなどを展開する、帯広市に本社を置く企業。23年から2022年北京五輪スピードスケート銅メダリストの森重航(24)と競泳の坂田怜央(28)が所属している。「オカモトグループ自体がいろんなことに挑戦することを大切にしている会社でもあったので、私もジャンプに対して挑戦できる環境でトレーニングできている。私は自分でゴールを決めてしまうことがすごく多かった。これは辛いからやらないとか、すごくマイナスな気持ちでスタートすることが多いが、プラスの気持ちで苦手なことにも挑戦して、少しずつできないことをできるようにしていく年になれば」。今年の干支は「巳」。ヘビのように、一皮むけた自分になることを誓う。
トップの選手に近づくためには…
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勢藤の「挑戦」は「恐怖心に打ち勝つ」ことだ。98年長野五輪団体金メダルの原田雅彦全日本スキー連盟会長(56)や、同学年の高梨沙羅(28)とは同郷。6歳から競技を始めて競技歴は20年を越える。それでもラージヒルとなれば、助走路から空中へ飛び出す速度は90キロを超えるだけに「今日の練習の1本目、トライアルランドも怖かったんですけど、恐怖心がなくなれば、もっとトップの選手に近づける」。男子強豪のオーストリア選手を参考に、空中で浮力を最大限受けるために、スキー板が立たないような空中姿勢作りを目指している。「体を前に放り出す感じで飛んでいる。最初は飛び出す瞬間、(前方に)でんぐり返しするんじゃないかってくらい怖かったんですけど、でもそれくらいやらないとトップには行けないし、それをやってできた時は、すごく距離にもつながったので、今はその恐怖心に勝つのが大事」。ライバルの存在よりも、自分との戦いに向き合う。
W杯の個人最高成績は4位 五輪でメダル獲るために準備
W杯の個人最高成績は、18年3月のドイツ・オーベルストドルフ大会での4位。今季は9戦終え9位が最高だ。「今年は五輪のプレシーズンになり、どの国の選手もレベルが上がってきている。私もワールドカップで失敗できないし、強い意志を持って試合に臨まないといけない。トップの選手との違いは何なのか、というのを見比べて、改善して、オリンピックに選ばれて、オリンピックでメダルを獲れるように準備していきたい」。最終目標を達成するまで、恐怖を胸の奥深くに押し込み、覚悟を決めてスタート台に立つ。
■2.1ポイント差で敗れた伊藤有希(30、土屋ホーム)
「2.1ポイントでも負けは負けなので。勝つか負けるかでやっているので、負けは負けだと思います。なかなか自分の思うようなシーズンインができなくて、苦しんでるなって感じはあるんですけど、 逆に言えば、ここからは上がっていける要素しかないんじゃないかな。(W杯では)日本の試合もありますし、いいきっかけをつかんで後半戦に臨めたら」