余市出身・桜井梨子が初の予選突破でW杯デビュー リレハンメル五輪代表の父と挑む親子鷹【ジャンプ女子W杯札幌大会】
■ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯札幌大会
▽個人第10戦(1月18日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
余市町出身の桜井梨子(21、あいおいニッセイ同和損保)が、W杯5度目の挑戦で初めて本戦に出場して35位に入った。19日の第2戦の出場権は手に入れられなかったため、次戦は24日の山形・蔵王大会。コーチを務める父で1994年リレハンメル五輪日本代表の仁さん(57)と、二人三脚で将来の五輪出場を目指す。札幌出身の佐藤柚月(札幌日大高3年)も28位で初のW杯ポイントを獲得。日本勢最上位は勢藤優花(27、オカモトグループ)が13位。高梨沙羅(28、クラレ)は14位、伊藤有希(30、土屋ホーム)が15位だった。
期待の日本女子の次世代エース
日本女子の次世代エースと期待される新鋭が、ついにW杯デビューを果たした。桜井は23年1月のW杯札幌大会から4回連続で世界の壁にはね返されてきたが〝5度目の正直〟で壁を破った。「もうずっと予選落ちしてたので、本選に進めたのはすごく良かったんですけど、ポイント獲得を目標にしていたので、届かなかったのは、すごく反省点。また蔵王もあるので、そこに挑戦したい」。今季最後のW杯では、上位30位以内に入って2本目に進み、初のW杯ポイント獲得に照準を絞った。
ゼッケンは3番。予選では94.5メートルを飛んで56人中37位で本戦に駒を進めた。「毎年1番スタートで、あまりいい条件で食べなかった。(国内開幕戦の)名寄で少し頑張って3番スタートで飛べたのも、少し自分の中で本戦に進めたきっかけかな」。本戦では3メートル飛距離を伸ばし、順位も二つ上げたが「少し上体から起き上がる動きが出ていたので、飛距離につながらなかったのかも。あとは飛び出してからロスが生まれてしまって、スキーと(スキーが)ぶつかりやすくなるのが課題。もう少し上体を起こさず進み、マキシマム(最高到達点)まで遠くに飛ぶことが課題」と修正点を口にした。
所属先の応援団に本戦に進む姿見せられ「ほっとした」
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1本目を飛び終えると、すぐに所属先の応援団の元へ。余市紅志高卒業後の22年4月に入社。たまに会社で事務仕事を手伝うぐらいで、全面的に支援してもらってきた。「(札幌では)3回出てて2回予選落ちしちゃっててすごく悔しいですし、会社の人もいつも寒い中見に来てくださるんですけど、やっと本戦に進んだところを見せることができて、少しほっとしている」と、目に涙を浮かべた。「ポイント獲得という目標には届かなかったので、もっとレベル上げて、(2本目に進む)常連になれるようなジャンプをたくさんできたら」。これまで以上の活躍で、支援に恩返しする。
コーチボックスに父の仁さん「自信持って行け」
サラブレッドだ。父の仁さんは、現役時代は実業団で活躍してW杯には20度出場。92年の札幌大会で15位に入ったことのある名選手だ。今大会ではテストジャンパーを務めた少年団選手のコーチとしてコーチボックスに入っており、桜井にとっては力強い存在だった。試合前には「今日は1本目、少し追い風の試合だったと思うんですけど、向かい風より追い風の方が、良い結果が出ることが多いので、自信持っていけ」と背中を押されてジャンプ台に向かった。
「コーチボックスにいてくれるので、毎本、毎本、ビデオと一緒にアドバイスもらってます。妹もテストジャンプで飛んでくれて、お母さんも応援に来てくれたので、すごくうれしかったです。将来的にはオリンピックを目標にしてるので、お父さんを超えて、出場できたら。ワールドカップも、もっと上を狙えるようにしたい」。いつか家族を五輪に連れて行くため、自らのジャンプに磨きをかける。
■4度目のW杯挑戦で、初めて2本目に進みW杯ポイントを獲得した佐藤柚月(札幌日大高3年)
「ずっと2本目に進んでポイントを獲得することが目標だったので、それを成し遂げることができて素直に嬉しいです。次は2本目に進んでシングルとか行きたい」
■日本勢最上位の13位に入った勢藤優花(27、オカモトグループ)
「今週のHBC杯の時と同じような感覚で試合に臨めたので、練習でやったことが少しできたのが、きょうのワールドカップなのかな。日本人トップは、すごく嬉しいことではあるんですけど、やっぱり世界と比べると10メートルの差があるので、もっともっとトップの選手に近づけるようにしたい」