苦悩の高梨沙羅は今季2度目のシングル入り 課題克服へ試行錯誤【ジャンプ女子W杯札幌大会】
■ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯札幌大会
▽個人第11戦(1月19日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
日本勢は18日に14位に終わった高梨沙羅(28、クラレ)が1回目9位から2回目で全体3番手の127.5メートルを飛び8位に入り、今季2度目のシングル入り。今季から着地時に取るテレマーク姿勢の採点基準が厳しくなり、かつての絶対女王が課題克服へもがき続けている。
2回目に飛距離伸ばすもテレマーク入らず
改めて課題が浮き彫りになった。2回目は127.5メートルと、1回目から大きく飛距離を伸ばして8位に食い込んだ。「1日目の反省点を生かして2日目につなげられたと思う。1本目は若干スタートの時に乗り遅れた感はあったんですけど、2本目はそこをしっかり乗ることはできたのかな」。ただ、着地時は1回目同様、後ろ荷重気味で着地。両足が横に揃ったままで、テレマーク姿勢が入っていると認められず、飛型点は2本の飛躍とも48点と低迷。表情はいまひとつ冴えなかった。
ジャンプ競技は飛距離点と飛型点から構成されており、飛型審判員一人当たり20点満点の減点方式。5人中3人の得点を採用するため、最大で60点。飛距離が伸びるほど、飛型点の占める割合は少なくなる。今季、着地時にどちらか片方のスキー板を前後にずらして姿勢を低く取り、両手を左右水平に広げるテレマークのルールが変更。飛型審判員の持ち点は20点中、テレマーク姿勢の完成度で2.0~最大5.0点が減点されるが、その減点具合が昨季よりも大きくなった。
ルール変更の影響もあり昨季より平均飛型点が低く
高梨は昨季個人戦で1回当たりの平均飛型点は50.29点だったが、今季は個人11戦を終えて47.45点。悪天候で1本で成立した場合を除き、2度の飛躍の合計点で競われるため、1試合当たりの昨季との差は5点台中盤。当然、ほかの選手も同じ条件だが、長年、テレマークが課題だった高梨にとって、よりテレマークを意識せざるをえない状況。「きょうは準備しすぎて、まだスキーは上がってきてるのに(テレマークを)入れようとしてるから、スキーに押し返され後傾して下がってしまう。早く入れようと気持ちが行きすぎると、そうなってしまう」と苦悩している。