昨季まで足りなかった部分が目に見える形で埋まってきた《河合CRCの竜の眼》

実戦で体現した岩政監督のサッカー
キャンプの映像を確認し、大きな衝撃を受けた。15日に実施された今季初の対外試合・FCセリオーレ戦(30分×3本)は、合計スコア11ー0の大勝だった。格下のカテゴリー相手ではあるが、岩政新監督の目指すサッカーが見事に体現されていた。
得点シーンに目を移すと2人目、3人目が絡む魅力的なゴールばかりだ。複数人が連動することで相手を崩す、ミシャさんの攻撃的サッカーが生きている。
各選手がポジションを入れ替えながら攻撃を展開する流動性が見られるのは、まだまだ先の話だと予見していたから本当に驚かされた。FW出間の〝チーム1号〟も縦パスではなく、横パスからスイッチが入り、流れの中で生まれたゴール。昨季まで、ほとんどなかった光景であり「もう、こんなことができるのか」と感嘆した。
技術の向上を感じさせたバカヨコ
3戦目の長崎戦(35分×4本)は1、2本目に出場したFWバカヨコのパフォーマンスが目を引いた。前年まではボールを収めることに苦慮していたが、このゲームでは上手く足元に収め、味方の攻撃参加を引き出した。技術の向上を感じさせるワンシーンだった。
攻守の切り替えが昨季と全く違う
守備面ではチーム全体の変化と進化が、はっきり見て取れる。真っ先に感じたのは攻守の切り替えの速さだ。ボールを奪われた瞬間に、当事者も周りの選手も激しくプレッシャーを掛けに行っている。トランジションと呼ばれる部分のスピード感が昨季とは全く違う。
岩政監督が公言する「ボールを持ちながら崩すサッカー」には、「ボールを保持しながら休もう」という意味も含まれる。相手がボールを持つ時間を減らす動きは、その考えにつながってくる。
相手のボールホルダーに顔を上げる時間を与えず、判断するタイミングを奪えば、背後へのパスは出せなくなる。適当に前へ蹴ったボールは予測しやすく、回収もたやすい。ミシャさんの時代に足りなかった部分が、目に見える形で埋まってきた。