駒苫の香田誉士史元監督が札幌で講演会開催 ナンバーワンポーズ誕生秘話などを明かす
道勢甲子園初優勝&2連覇導いた名将
駒大苫小牧の元監督で、現在は駒沢大で指揮を執っている香田誉士史監督(53)が25日、札幌市内で講演会を行った。香田監督は、2004年夏の甲子園で駒大苫小牧を北海道勢春夏通じて初の優勝に導き、翌年には2連覇、翌々年も準優勝と、道内高校野球の歴史を築いた名将だ。
V2時の主将・林氏も登壇
第1部となったプロメンタルトレーナー・秋山ひろたか氏の講演に引き続き、第2部にも登壇した香田監督。同校就任時の苦労話や、ナンバーワンポーズの誕生秘話などを、連覇時の主将で現在は駒沢大ヘッドコーチ(HC)を務めている林裕也氏(37)も交えて約2時間に渡って熱弁を振るった。講演会後には、当時のエースで昨年12月に巨人への移籍が決まった田中将大投手(36)にエールも送った。
いつも北海道のことは気にしてる
〝勝ち過ぎた監督〟が札幌で久しぶりに講演会を行った。壇上では、「いつも北海道のことは気になっているし、野球だけじゃなく、いろんな分野でも発展があることは、いつも見てるし、望んでいる。歴史の中で、自分らが日本一となって皆さんに喜んでもらって。現在の高校野球も、そこがあって、さらに発展してきている部分は絶対あると思います。北海道の代表が今年はどこが(甲子園に)出るのかな? よし勝てよって、陰ながらすごく気になっている。本当に応援している」と、北海道への思いは変わらないことを明かした。
社会人野球の西部ガス監督を辞任する際には、自宅のある北海道に戻ることも頭をかすめたが、昨春から母校の駒大で指揮を執っている。「いまは駒沢大学を常勝、日本一にする、そこに心が夢中、まっしぐら」と、母校の再建に全力投球している。
現役選手は生まれる前の出来事
約200人の入場者のうち、半分ほどが現役の高校生。「君らは何年生まれ?」との問いかけに「2007年」と返されると、「(もう自分たちの時代は) 終わっている。駒大苫小牧では2004年が優勝、2005年が優勝で、2006が準優勝で、2007は甲子園1回戦で広陵(広島)に負けている。もう夏の大会の後に(退任)だったんでね。それは分からないよね、完全にね」。
現役の球児が生まれる前の大記録だったが、参加した多くの高校生は熱心にノートにペンを走らせていた。講演の終盤に行われた高校生からの質問にも、身振り手振りを交え、丁寧に応えて見せた。
全国的に有名なナンバーワンポーズ「俺がつくったということではない」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
メンタルトレーニングという言葉が今ほど市民権を得る前から、香田監督の指導には随所にその原型のようなものがちりばめられていた。それは、雪上練習と並び、全国的にも有名になった〝ナンバーワンポーズ〟だ。
その儀式が生まれたのは、監督就任3年目の1997年。「俺がつくったということではない。あの当時、単発的にメンタルトレーナー的な人に入ってもらった時に、『ボディーランゲージで何かやることが重要なんだよ』ってワンポイントの助言があって。そういう中で選手たちが考えてできたもの」。
グラウンドだけではなく、校内ですれ違う時もあいさつとともに人さし指を顔の近くに掲げるポーズを取り入れたが、当時は部員も恥ずかしさからすぐに引っ込めたり、女子生徒からもドン引きされていたという。
香田監督「ブランドになっちゃって」
だが、この日の講演のテーマの一つでもあった〝継続〟した儀式は駒苫の伝統となった。V1とV2を経験した林HCは「僕が入った時はもう、何かかっこよく見えて、みんな真剣にパッてやるんで。監督が考えられたことじゃないにしろ、僕には思いつかないことを考えつくっていうか、才能なのか(笑)」。香田監督も「最後の方はね、ブランドになっちゃって」とはにかんだ。それからは高速道路の料金所の係員や、信号で止まった隣の運転手など、一般人からもポーズされるほどメジャーになったという。
マー君から発表前日に移籍報告
05年のV2と、06年の早実との球史に残る決勝再試合で主役となった田中将。教え子でただ一人のプロ野球選手だ。巨人へ移籍すると連絡があったのは、球団発表前日の12月23日。「正式に巨人に行くことになります。明日、出ると思います」と電話があった。「プロとしては終末の方だと思うので、しっかり田中将大という姿を見せてほしい。もう国民的スター。佑ちゃん、マー君って、もうあの頃から、そこは宿命づけられている」と、19年前の灼熱の聖地を思い返した。
最後まで田中将大らしく
田中将は日米通算200勝へあと3勝。「あんまり3勝、3勝って言うと遠いけど、平然と絶対復活して15勝するんだって、そんぐらいの感覚で彼は行くんでしょう。最後まで田中将大らしく」。考え抜いた末に現役続行を決断した教え子へ、最大級のエールを送った。