【スマイルジャパン五輪最終予選へ】(前編) 守備の要・DF人里亜矢可「圧倒的に全勝」
最終予選は海外組の二人に注目
女子アイスホッケー五輪最終予選グループGが2月6日に苫小牧・nepiaアイスアリーナで開幕する。4大会連続5度目の出場を狙う世界ランク7位の日本代表〝スマイルジャパン〟は、グループGで中国(同12位)、フランス(同13位)、ポーランド(同20位)の3カ国と対戦する。今月23日からは戦いの場となる苫小牧市内で事前合宿を開始。海外組で、釧路出身のDF人里亜矢可(30)、帯広出身のFW志賀紅音(23)も29日までに合流した。道新スポーツデジタルでは、攻守の要を担う二人の意気込みを語ったインタビューを2回に分けてお届けする。
13年から代表で活躍するDF人里
前編は、守備の要・人里だ。スマイルジャパンは2013年に初めて最終予選を勝ち抜き、開催国枠で出場した98年長野大会以来、14年ソチ大会で初めて自力で出場権を手にした。人里はその頃から活躍する代表選手の一人だ。大ケガでメンバーを外れた妹・床秦留可(27)や、現役選手で21年6月に結婚した夫の茂樹さん(30)を心の支えに、苫小牧では4日間で3試合という超過密スケジュールを戦い抜く。
初戦のフランスには前回対戦で惜敗
昨年12月にデンマークで行われた4カ国トーナメント以来、日本代表のユニホームに袖を通した。同トーナメントでは、2月6日の初戦で当たる世界ランク13位のフランスに2-3で惜敗しているだけに、人里は「いよいよ来たなっていう感じ。今回、チームとして圧倒的に全勝することを目標に掲げている。最初からフランスのペースには1秒たりとも持ち込まないぞ、というぐらいの気持ちでプレーしたいし、そうあるべき」。前回対戦の反省を生かして序盤から試合を支配し、白星発進する覚悟だ。
北京五輪後に妹と共にスウェーデンへ
ソチ五輪後、海外へ武者修行に行く選手が増えてきた。人里も過去最高の6位に終わった22年北京五輪後、妹の秦留可と一緒にスウェーデンのプロリーグ・SDHLのリンシェーピングに移籍した。当初は国内でプレーを続けるつもりだったが、「フィンランド代表にボコボコにされてしまって、また日本で同じ4年間を迎えてしまったら同じことになってしまう」と、強い危機感から海を渡った。
移籍直後は予想以上のレベルに困惑
SDHLには、スウェーデン代表を始め、フィンランドやチェコの代表選手もプレー。移籍直後は「これ無理かもって、正直思って面を食らった。体格差もそう、プレースピードも本当に練習から速くて全然違う。世界選手権並みの試合が毎週末できる感覚」。予想以上のレベルの高さに一瞬ひるんだが、強い決意をした上で移籍した。簡単に逃げ帰るつもりはなかった。
「初めてホッケーが怖いと思った」
日本では禁止とされるチェックもあり、激しさは段違い。「初めてホッケーが怖いと思った瞬間が何度もあった。でも、その度にどうしなきゃいけないかって、すごいホッケーと向き合えた日々だった。もともと海外の選手にバトルで挑戦していくのは、すごい好きだったけど、より果敢に戦えるようになった。間合いが今までとはちょっと違う感覚が出てきている」。フィジカルで劣っていても、一歩も引くことなく相手に食らいつき、その強靱さを身をもって学んだ。
現地の日本人にも支えられた
現地では妹の秦留可と二人暮らし。公用語のスウェーデン語はさっぱりだというが、チームの共用語である英語では意思疎通を図った。この地域には日本人も多く住んでいるといい、「日本人の方たちに本当に支えられて過ごしている感じ。結構、日本語を話すことが多くて、すごいリフレッシュできている」。
スウェーデンには「みんなでコーヒーを飲もう」という意味の「フィーカ」という文化があり、氷を降りたチームメートとの楽しいひとときも過ごしている。また、テニスとスカッシュが合わさったような「パデル」や、ボルダリングにも挑戦。サウナの本場も満喫し、「湖へ飛び込みとか、絶対に日本ではできないようなアクティビティもすごい挑戦できている」。プライべートと競技をバランス良く両立している。