勝利を目指すが、何よりも大切なのは負けないこと《河合CRCの竜の眼》
勝敗への強いこだわり感じた岩政監督
新体制の始動から1ヶ月以上が経過し、いよいよ勝負のシーズンを迎える。時間が過ぎるのはあっという間だと、選手やスタッフ全員が感じていることだろう。
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沖縄、熊本を通じてプレシーズンマッチは無敗(1試合は非公開)で駆け抜けた。この時期の練習試合は結果を気にする必要はないが、勝ち癖を付ける意味でも勝つに越したことはない。岩政監督のリアクションからは、勝敗への強いこだわりが伝わってくる。常勝・鹿島で培ったメンタリティーが、1試合ごとに垣間見えた。
変わった守備意識は前向きに捉える 少し心配なのは…
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チーム全体のパフォーマンスには、ポジティブな要素と懸念点の両方が存在した。守備面では沖縄から取り組む、奪われた瞬間のトランジションの速さが継続されている。セカンドボールを上手に回収することで、ボールを保持する時間が長くなり、大崩れすることは一度もなかった。昨季と比較しても守備の意識は大きく変わっている。
少し心配なのは攻撃時の崩しが上手くいってないことだ。ボールを握っても、攻めあぐねるシーンが数多く見られた。メンバー構成や試合の運び方次第でプレーの質は大きく変わる。監督のチョイスが気になるところであり、最後の1週間でどこまで修正できるか注目したい。
しぶとく勝ち点につなげる集中力を
開幕の敵地3連戦で3連勝を飾るのは理想形だ。とはいえ、シーズンは長い。勝利を目指すのは当然だが、何よりも大切なのは負けないこと。リーグ戦は勝ち点を積み重ねることが非常に重要で、2勝1分けでも1勝2分けでも、後々に大きく響いてくる。
勝ち点を積み上げるには、勝負強さが求められる。負けゲームを引き分けに持ち込む粘りの姿勢や、同点で終わりそうな試合で最後に勝ち切る、ここ一番の集中力をシーズン通して発揮してほしい。
状態を仕上げ平常心で戦うことが大事
開幕戦のピッチ上には、独特の緊張感と高揚感が入り交じる。スタートラインに立つことをイメージするとワクワク感、やってやろうという気持ちが強くなる。ほどよい精神状態でゲームに臨むのは想像以上に難しい。
敵地での連戦からスタートする札幌は毎年、遠征先から試合会場への移動を強いられる。ホームでは家庭でリラックスしながら、試合へ向けて徐々にモチベーションを高められる。そうやってスイッチのオンオフを切り替える日常は、しばらく味わえない。このクラブに籍を置く以上は避けて通れない道なのだから、プロフェッショナルとして割り切って、100%の状態に仕上げることを期待したい。
サッカーを楽しむこと
特有の長期キャンプにはメリットもあり、他チームよりも圧倒的に長い時間を共有することで、必然的にサッカーの話題を口にすることが増える。密度の濃いコミュニケーションを取ってきた選手たちは同じ方向を向き、今季を占う一戦を存分に楽しんでほしい。
J1とカテゴリーは違えど、やることは同じサッカーだ。点を取って勝てたら嬉しいし、良いプレーには喜びを感じられる。現役を退いた今だからこそ、戻れるならばもう一度、多くのサポーターの前でプレーしたいと強く思う。
プロ生活は、決して長くない。国内トップレベルの舞台で戦い、人々に勇気や感動を与えられる立場にいるのだから、初心に帰ってサッカーを心から楽しんでもらいたい。
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