《鶴岡慎也のツルのひと声》プロ野球は椅子取りゲーム すべてにおいて上積みが期待できる清宮
優勝争いができるレベルにある野手陣
キャンプは早くも第3クールが終了した。今年は例年にも増して、いや、比べものにならないぐらい野手のレベルが高い。層の厚さを感じる。優勝争いができるだけの野手が揃っていると断言できる。初日から皆、バットが振れているし、「調整が遅れているな」という選手がいない。競争の激しさを物語っている。
特に外野手のポジション争いが熾烈(しれつ)だ。松本剛に万波、矢沢ら。皆、状態良くキャンプインした。昨季、頭角を現した水谷も初実戦となった8日の紅白戦で、いきなり左前打をマークした。
激しい外野のレギュラー争いに拍車をかける存在
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注目すべきは五十幡だ。バットの軌道がレベルスイングを維持している。昨季まではヘッドが寝てしまうことがあり、ポップフライや空振りにつながっていた。今キャンプ中、ここまで見る限り、ボールに対して上からバットを入れることができている。ボテボテのゴロになるケースもあるのだが、それは彼にとって好都合。快足を生かせるので、ヒットコースと言える。ほかの選手は良しとしないだろうが、五十幡にはプラス。その点で、メンタルの差別化を心がけてもらいたい。
今川もパンプアップされている。4日の紅白戦では柵越えを放った。オフ期間にやってきたことが形として表れている。乗っていけるはずだ。
バッティングの形が良い清宮
内野手では清宮が目を引く。実戦や練習でサードに入っている。そつなくこなせているし、なんといってもバッティングの形が良い。昨年の好調時をそのままキープできているようだ。ヒット、本塁打、打点。すべてにおいて昨季の上積みは必至だろう。
あらゆるポジションでハイレベルな定位置争い
開幕4番に内定している野村はファーストでの出場が濃厚だ。DHはレイエスか。となると、郡司はキャッチャー? すると、田宮は? 伏見は? あらゆるポジションでハイレベルな定位置争いが繰り広げられている。シートノックを見ても、内外野とも返球やタッチプレーなどなど、あらゆるシーンでミスが少ない。ちょっとでも気を抜いたら出番はない。誰もが危機感を持って臨めている証拠だ。
一日一善を心がけた勝負の年
私も経験がある。プロ4年目の2006年から本格的に1軍の試合に出られるようになったのだが、その年の春季キャンプの記憶は脳裏に焼き付いている。とにかく必死だった。一日一善。ヒットでも盗塁阻止でも。実戦の機会があれば、なんかしらアピールしなければと歯を食いしばった。プロ野球は椅子取りゲーム。今季のファイターズは競争が激しい。選手たちの気持ちは痛いほど分かる。けがには十分に気を付け、悔いのないように存分にアピールしていってもらいたい。